
きりさめ

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生命科学を学んだあとは、どうやって生きていきましょう。「稼ぎたい」「研究に向いていない」「会社員は嫌」「研究職以外は無理」と、想いはそれぞれですし矛盾した気持ちを抱えることもあるかもしれません。しかし答えが見つからないまま、選択を迫られるのも事実です。
大学院で就職活動をした私や友人の個人的な例をお話したいと思います。
就活全体を振り返って
就活の一般的な流れ
- 自己分析
- 志望業界・企業を決める
- 受ける
- 合否を待つ
- 就活続行or終了
これは文系学生も理系学生も基本的に変わりません。5で就活続行になった場合は2からやり直すなどプロセスを行き来します。
理系の就活
文系の人と違う点は主に「専門性」です。専門性で食べていきたい人は研究職を志望するのが一般的かと思います。しかし、研究職についたからといって専門性をバッチリ活かせるかというとそれは会社の采配によるため微妙なところでしょう。
生命科学を修めた人はどちらかというと「文系寄り」の選択肢をとる人も多いです。企業は儲けるために存在していますが、生命科学は基礎研究が多く、基礎研究はすぐお金にならない傾向にあります。
理系院生が専門以外の職で採用されるとき、企業側は学生の「論理的思考」「専門を深める能力」を買っています。友人たちもシステムエンジニア、事務職など様々な進路をとりました。
私個人の流れ
私は生きものを扱う研究室に所属していたため、実験との両立が難しいと感じていました。また、自分の社会適合能力にも疑問を持っていたので、人よりなるべく早く動かないと、と思いつつ先延ばしにしていました。
修士1年
10月:友人に誘われて合同説明会、学内の説明会
11月:プレエントリー、練習のつもりでWebテスト
12月:実験漬け
1月:面接、説明会
2月: 同じ
3月:就活本格化、テスト、面接
修士2年
4月:テスト、面接
5月:テスト、面接
6月:テスト、面接
7月:手元の選択肢から企業を選んで就活終了
綺麗にまとまらないのは企業によって就活スケジュールが異なるためです。自分の軸は一つに絞りましたが、色んな業界を受けました。エントリーだけならたくさんして、たくさん落ちました。途中で選考辞退もしました。
就活で使う道具
推薦の場合
一般応募では学生側からのアプローチで採用試験が始まります。「就活」と聞いて一般的に想像されるのはこちらでしょう。推薦は、企業が各大学に「何人欲しい」と通知し、学生が応募することで選考が始まります。
理系院生の就職が強い理由の1つに挙げられます。以下は「道具」として使っていくよりも推薦の選考の種類というべきかもしれません。
- OB訪問
OB・OGにわざわざ連絡をとって訪問するというものです。実際に行う学生は少ないので、企業規模にもよりますがアピールになります。 - 説明会
各大学のOB・OGが学生を複数名集めて説明会を開きます。この時、食いつき学生などを見ている場合もあるそうです。 - リクルーター面談
企業の若手社員(多くはOB)との面談です。私は友人と共に、お菓子を食べながらラボの居室で行いました。企業やリクルーターによって自由度が異なります。 - マッチング面談
この選考は人事の面談や部署の面談などを飛ばして役員面接であることも多く、友人は最初から社長面接だったそうです。
一般の場合
以下のツールは推薦の人も使っていました。
- 就活サイト
リクナビ、マイナビ、アカリクなどの就活サイトを使うのが一般的かと思います。アカリクは大学院生向けの就活サイトです。バックグラウンドを活かしやすいサイトです。 - エージェント
リクナビやマイナビにはエージェントというサービスもあり、マンツーマンで面接やESの添削をしてくれます。私はリクナビエージェントを使っていました。 - 人脈
「まじか、そんなもんねえよ」という私も運良く研究室の友達がサークルの先輩とつないでくれたりしました。他にも学科のLINEグループに流れてくる「座談会」など参加しづらければしづらいほど意識して参加しました。他大出身の人は学部時代の大学事務局や教授に問い合わせてみましょう。なにか手段があるかもしれません。
超重要!気持ちの保ち方
よく私たちは「気持ち」と「行動」を分けて話しがちですが、当然、密接に関連していて、やりたくないことは行動に移すのも遅くなります。なんとか使えそうなものを使っていきましょう。
周囲が立派に見えまくる
学食で聞く「ト○タの最終で~」「まあ超大手だけど給料低いから蹴ったわwww」などの声に心の中で舌打ちをしては、「自分はぽんこつ・・・。」と落ち込むこともありました。全然そんなことなくても、お先真っ暗に思えてしまうのです。
具体的な息抜きについて
イレギュラーなスケジュールに振り回され、全部投げ出したくなってしまうこともしばしば。短時間でできる息抜きと、思い切りリフレッシュする息抜きの手段を持っておくといいですね。思いつくもの全て挙げてみました。こんな息抜きが良かったよ!っていう人はTwitterで教えてください。加筆します!
- 短時間の息抜き
カラオケ/バッティングセンター/スマホ・ポータブルゲーム/SNS/散歩/タバコ - しっかり息抜きしたい時
爆睡/映画/研究にどっぷりつかる/制限なく好きなことをする
研究は上手くいくときばかりではないから逃げたくなることもありました。しかし就活が嫌なときはもう何でもいいから就活以外のことをした方がいいです。そういう意味で研究に逃避する日もありました。落ち着いたらしっかり振り返りをして、また戻りましょう。
メンブレの防ぎ方
メンタルブレイクは切実な問題。もう本当にリフレッシュするしかない。受験もそうですが、点数が足りなければ点数に対する努力でしか取り返せないし、就活の不都合は就活でしか取り返せない。現実って厳しいね。
一時的にリフレッシュしてもまた元に戻っちゃうよ!っていう人はもう向き合うしかないでしょう。一人で考え込んでいると客観的な視点を見失いがちになります。かといって友達と就活の進度も違うし、話して癒されるとは限らない。
幸い、大概の学校にはカウンセリングセンターや就活支援室があります。使えるツールは全部使いましょう。ちゃんと信頼出来て、余裕のある人に話しましょう。あなたはきっと自分で思うよりヤバくない。本当だよ。
ここだけの話
やっぱり学歴って関係あるの?
「あるっちゃある」
大手など応募数が多い企業は高学歴であれば書類が通りやすいのは事実です。でも、面接まで進めば「実績」と「見せ方」だけが物をいうので、そこから先はあまり関係ないと感じます。
学部卒と院卒の違い
「修士学生のみ」という募集も多々あります。志望企業や志望する職業がそういった条件を掲げているなら修士の方が基本的には有利。それでも優秀な学部生だったら無関係に採用されたりします。企業によりますが、明言していないことも多いので一概には言えません。
所感
自分で振り返っていて思いましたが「一概には言えない」ことが多いですね。この、スパッと割り切れない感じも私にとっては苦痛でしかありませんでした。向き不向きもあるし慣れもあります。早く就活が終わればいいってわけでもないし内定の数が多ければいいというものでもない。あなたのゴールはあなたしかひけません。一番大切なのは自分と向き合うことでしょう。
やらかした話(見習わないで欲しい)
やらかした話ならたくさんあります。読んでくれているあなたが少し笑顔になってくれればいいな!そしてどうか同じ轍を踏まないでね。
- Webテストの締切を勘違いして受けられない
志望度高かったのに・・・。ウケる・・・。(ウケません) - パソコンが突然イカれてWebテストを受けられない
スペックも確認していたのにな。運だから仕方ないですね。当時は暴れました。 - 地図を見てもたどり着けない
都会のビル群はどれも似たような風景で、Google Mapが正しく作動せずたどり着けなかった面接がありました。もう縁だと思って割り切ったけれど不戦敗は悲しいものがあります。 - 間違った電車に乗る
ぼーっとしていて逆走しました。取り返しはつきませんでした。 - 説明会で寝る
遅くまで実験していたのは事実ですが弁明する機会など与えられません。 - メールで企業名を間違う
「株式会社××株式会社 人事部 ○○様」と書いたメールを最終選考前に送り付けてしまいましたがこの会社に入社しました。優しいですね。
思い出せばもっとたくさんあるかもしれませんが全て3ヵ月以内にやらかしていると思うとなかなかの猛者ですね。それでも社会人になれるのだから社会は割と寛容なのかもしれない。
もう一度、就活するとしたら
終わってから言えることではありますが、もう少し早く動くべきだったかなと思います。実体をつかむのが遅すぎたのと、慣れの効果は侮れないと感じています。面接が苦手で誰より内定を得るのが遅かった友人は、場数をこなすことで、就活後半には面接無双になっていました。
私には最初から就活に対する強烈な嫌悪感がありました。そういう人ほど本当に早く手を打ったほうが良いと思います。
心理的なハードルが行動を妨げてしまうのは絶対にもったいないから、適当なところでヘルプを出してくださいね。
私で良ければいつでもどうぞ!(@kirisamechannel)
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