
きりさめ

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こんにちは。きりさめです。今日は、わたしの人生を変えてくれた科学との出会い、進路決定ついてお話します。
自分自身も勉強に興味がなく、「女の子」であるという理由で勉強しなくてもいいのではと言われる環境の中で、価値観を確立し主体的に選択できるようになった話です。
科学を好きになるまで
「なんとなく」遠ざけていた小学校時代
祖父は、大学で建築を教えていました。私にとって一番身近な理系の人です。そして祖父の解く数式は難解で「理系=難しい」というイメージを持ちました。また、学校の勉強に面白さを感じられませんでした。
親戚が古い考え方を持っていたので、正月の集まりでも「女の子は家事を手伝いなさい」などと言われることが多くありました。親には、勉強しろと言われることは全くありませんでした。
「バカに理系は無理」と言われた中学時代
通っていた中学校は荒れていて、数学の授業で椅子が飛んでいる日もありました。私は授業が成り立たない時は居眠りをしたり落書きをしてばかりでした。
塾にも行ったことはなく、勉強を楽しいと思うきっかけはありませんでした。点数に対するプライドもないので、テストで悪い点を取っても悔しさすらありません。「理系科目はバカには無理だよ」と言った同級生の言葉を「そっか~」とのんきに真に受けていました。
偶然好きになれたのは先生のおかげ
最高の先生と出会う
しかし、とある理科の先生と出会って初めて、理系科目を面白いと感じました。先生の教え方が上手なのはもちろん、分かることが楽しいと思い始めたのです。
先生は持論を押し付けることなく、誰に対しても対等に接してくれました。いつもニコニコとしている仏様のような先生のことを人として尊敬できたからこそ、授業の内容が頭に入ってきたのかもしれません。
高校で科学イベントに

高校の廊下に掲示されていた「研究船で海を学ぼう」というポスターを偶然見て、応募しました。研究船に乗れる貴重な機会ですし、船から見る満点の夜空という誘い文句に惹かれました。(天気が悪く結局見えませんでした・・・悲しい・・・。)
このイベントでは全国から海に興味のある高校生が集います。大学生や院生とともに問いをたて、答えを導く楽しさは忘れられないものとなりました。
いざ大学受験
展覧会が好きだったこともあり、研究と表現の両方に携わることができる博物館学芸員の資格取得を目指しました。理系で学芸員資格を取得できるところは少なく、おのずと併願校も少なくなりました。
しかし、大学受験をなめきっていた私は当然のごとく受験校全落ちをキメます。一年後、自宅浪人を経て受けたセンター生物は満点をとることができ、入学時の成績は一位でした。バカに理系は無理なんてこと、全然ないよ!
大学、そして研究へ

実は、大学時代は授業にあまり出ていませんでした。満員電車に揺られて大学に向かう生活や、出席自体が重要視されてしまう授業を大事だとは思えませんでした。振り返ってみると、義務教育や座学に向いていなかったのかもしれません。
研究室配属のときに「姿を見ないから退学したのかと思った」とか言われる始末。しかし座学に向いてなくても研究は好きでした。
卒業研究では微生物由来タンパク質の機能解明を行いました。教授や助教は本当にいい人で、相性は良かったと思っています。(そういう点からも研究室選びは大事です!)
やってみてわかる研究の良さ
研究は、やってもやっても分からないことだらけです。そしてそれは原動力になります。なぜなら、ずっと追求し続けることができるから。
落ち込む時があっても、心の底から研究を嫌になってしまったことはありません。
卒業後、私は学部と違う大学院に進みました。いわゆる転院です。進学先を選んだ理由は、研究資金が潤沢で、留学生が集まるので、研究能力と語学力を高めるために最適だと感じたからです。
科学に関わって変わった・知ったこと

学ぶことで変わった人生観
理系の学問に限らず、「学ぶ」ということを通して、価値観を自分で確立していけるということを知りました。
「女の子だから勉強しなくていい」「バカに学問は無理」などという言葉で目の前に邪魔なレールが敷かれることがありますが、それを自分の手で覆していけるということ。
論理的に正しくないものを払いのけることができるのです。
学問は楽しい
科学は身の回りの色々なことに関連しています。知れば知るほど、自分の生きる世界のことが分かっていくのはとても楽しいものです。
冬になって、どうしてiPhoneの電池の減りが早くなっちゃったのか、気になりませんか?
そういった何気ない現象も科学と密接にかかわっています。また、研究が好きな友人が自分のテーマについて話すとき、本当に瞳がキラキラしているのも好きでした。好きなことをしてる時の人の顔は、どうしてあんなにも美しいのでしょうか。
これから大学へと進む人へ
もし「私なんかが」と思っている人がいたら、一度科学にふれてみて欲しいです。もしそれで「やっぱりつまらないな」と感じたら他のことをすればいいのです。大事なのはたくさんの選択肢があることではないでしょうか。
面白いと思ったら、進路選択の候補にいれてみてください。私は科学と出会えて、理系の道に進んで良かったです。自分の手で知を確かめていくことはとても楽しいことで、学問と出会ってからの人生を好きになれたから。
主体的に選び始めてからの人生こそ、自分の人生だと思っています。
もし担任の先生が違ったら、科学イベントのポスターに気付けなかったら、応募しても選考で落ちていたら、と考えると私が理系の道を選ぶに至ったのはたくさんの偶然の上にあります。
今度は誰かにとっての偶然を創っていきたいです!そして、届きにくいところにいる、届くべき人に面白さが伝わるくらい、理系とーくが大きくなればいいなあと思っています。
自分に合う環境を選べば全ての思い出は最高でしかありません。環境って本当に大事。理系とーくには進路関連の記事もたくさんありますし、是非見て下さいね!
私の大学院修了後の進路については生命科学系修士の就職活動記録【理系の就活体験談】をお読みいただければと思います。
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