【アクタージュ(act-age)】メソッド演技中の役者の脳内では2つの意識が存在する!?

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漫画が大好きなtsuyoshiです!

以前もDr.STONEに関する記事(こちら)を書いたのですが、今回はアクタージュを題材にした記事になります!

 

アクタージュは演劇の漫画でして、自身の経験をもとに役を演じるメソッド演技という演技法に関して飛びぬけた才能を持つ主人公、夜凪景が役者として成長していく様子を描いたストーリーです。

様々な役を演じたり、舞台を経ることで登場人物が成長していく様は、読んでいてとても面白いです!

 

そんな中である時、アクタージュを読んでいてふと気になった訳です。

役者の人たちが演じているときの頭の中では、一体何が起どのこっているのだろうか?

アクタージュの作品中では演じている自分を見つめる自分がいるかのような描写がされています。

役者たちは自分以外の人物を演じている訳なのですが、ある役を演じている最中もその人の自我が消えている訳ではないんですよね。

 

つまり、ある1人の人間の中に複数の人格が存在しているのでは? と思ったわけです。

 

漫画ではよくある描写の1つではありますが、現実の役者が演技をしているときにこのようなことは起こっているのでしょうか? 

生物としての人に興味を持っているライターとして、この記事では「演技中の役者の脳はどのように活動しているのか?」という切り口から考えていこうと思います!!

 

関連記事:【Dr.STONE(ドクターストーン)】スターリングエンジンってなに?熱力学的に原理を解説!

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アクタージュ(act-age)の概要

アクタージュ(act-age)は週刊少年ジャンプで連載中の演劇漫画です!

演劇をテーマにした漫画はジャンプでは珍しいので、そういう意味で印象に残っている人もいるかもしれません。

(引用:少年ジャンプ公式サイト)

 

アクタージュのストーリー [ネタバレはほぼないです!]

主人公・夜凪景(やなぎけい)は自身の体験をもとに演じる「メソッド演技」(詳しくは後述)という演技法において天才的な才能を持っており、異常なほどの役の感情への没入や、限りなくリアルな演技をする役者の卵です。

そんな夜凪が、ある映画監督(黒山墨字)に認められ役者として様々な体験をしていきます。

そして夜凪が自分の魅せ方を熟知する「天使」百城千代子や役への没入と表現を両立する「カメレオン俳優」明神阿良也といった個性的な役者たちと共演する中で、夜凪が役者として、そして人として成長していく姿を描いたストーリーです。

 

アクタージュのホームページも凝っていて面白いので、気になる人は見に行ってみてください!

 

(CMです)理系同士のゆるいつながりを生むコミュニティ 「理系とーくラボ」

メッソド演技を用いて夜凪たちは演じる

ストーリーの紹介時にも述べましたが、アクタージュの主人公である夜凪が得意とするのは「メソッド演技」による演技です。

この演技法によって限りなくリアルな芝居を可能にしているのですが、そもそも「メソッド演技」とはどのような演技法なのでしょう?

 

メソッド演技とは?

メソッド演技は、アメリカで1940年代に確立された演劇法(理論)です。

Wikipediaによりますと、

役柄の内面に注目し、感情を追体験することなどによって、より自然でリアリスティックな演技・表現を行うことに特徴がある。(引用:Wikipedia

というように書かれています。

アクタージュの作品中ではメソッド演技について、自身の経験を基にそれを演じる役に投影することで行う芝居であり、それによって役作りの強度を上げリアルな芝居が可能になる、というような説明がされています。

すなわち、メソッド演技は演じる役の内面を深く考えることで “自然な” 演技を可能にする演技法なのです。

 

メソッド演技での役への没入

メソッド演技の強みはやはり役の内面を考えることでしょう。

演劇では身体的な表現技術(Theatrical acting)と役になりきること(Pretend play)の両方が必要だと言われており、役の内面を考えることに特化したメソッド演技は役になりきるという点において非常に強みを持つ演技法です。

実際、世界で名俳優と呼ばれている人の中にはメソッド演技を得意としている方も少なからずいらっしゃいます。

 

一方で、メソッド演技において自分の内面と向き合う過程で、役と自分を重ね合わせ過ぎることもあります。

そして、負の感情を持つ役への没入が深すぎることによって、鬱になったり命を絶つことになってしまった役者もいます。

メソッド演技は諸刃の剣のような芝居だと言えるでしょう。

 

演技中の役者の脳はどのように活動しているのか??

「脳」の活動を調べれば演技中に考えていることが分かる!

メソッド演技をはじめとした様々な演技法を駆使しながら、役者たちは本当に様々な役を演じています。

中には普段の自分とかけ離れた役を演じることも少なくありません。

そのようなとき、役者自身の意識はどうなっているのでしょうか? 完全に役に支配されているのか、それとも理性的に芝居をするのでしょうか?

 

そこで、ここから演技をしているときの役者の脳の活動を調べた研究を見ていきましょう!

 

演技中は自己意識に関係する脳領域の活動が低下する

脳の活動を調べるための手段として、fMRIによって脳の活動が変化している領域を調べる手法が良く用いられています。

脳は領域によって司る機能が異なるので、脳活動が活性・抑制されている領域があるとその領域に対応した機能が活性・抑制されていると考えることができます。

このfMRIを用いて演技中の役者の脳でどのような活動が見られるのかということについて調べた論文(The neuroscience of Romeo and Juliet: an fMRI study of acting, リンク)によると、役を演じているときと演じていないときで、脳の活動する様子が異なるという実験結果が得られています。

 

この研究で行った実験は、演劇を専攻して学ぶ大学生15名を対象にして様々な役になりきって質問に答えてもらうというものです。

この大学生たちは、事前にメソッド演技を用いた演技の指導を受けています

 

これらの大学生に役になりきって質問に答えてもらうと、前頭前野(=前頭前皮質)の領域の活動が低下していることが分かりました。

前頭前野は思考や創造性を担う脳の領域で、意思決定や選択など自己意識に関する機能を担っている領域です。

つまり、演じている時に役者は自己意識を抑制しているという訳です。

演技中の役者は自己意識を抑制している

 

演技中の役者は2つの意識を持つ

また、この研究ではロミオとジュリエットになりきって質問に回答するということ実験も行われており、そこでも興味深い結果が得られています。

その結果とは、楔前部という脳領域が活性化するというものです。

 

楔前部は視空間イメージや自己処理の操作、すなわち意識や注意に関わる領域です。

 

つまり、役者が役を演じている時は役になりきって自己意識が低下しているにも関わらず、同時に演じている自分に注意を向けていると言えます。

いわば役者は役と自分、2つの意識を持っている状態で演じているのです。

役者は演じている自分にも注意を向けている

 

(CMです)理系とーくアイコンりけとくお「理系とーくのマスコットキャラクター『りけとくお』だよ」

最後に

アクタージュで夜凪たち役者が演技をしているときに脳内でいろいろ考えている描写がありますが、現実でも十分起こっている話なんですね。

確かに、私たちも生きている中で色々な “キャラを演じている”(=使い分けている)と思うんですが、そのような自分を客観視するような視点を持っている気分になることもあり、それも似たようなものなのだと思います。

漫画で描かれていることが、実はリアルでも起こっているんだ!ってことを知ると少しテンション上がりませんか??

 

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

 

参考文献(オープンアクセス化されている文献のみリンクを付けています)

Steven Brown, Peter Cockett, Ye Yuan., The neuroscience of Romeo and Juliet: an fMRI study of acting, ROYAL SOCIETY OPEN SCIENCE, 2019, リンク

Wikipedia「メソッド演技」, リンク

 

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