しずく
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お久しぶりです!
最近は学振の申請書作成に追われているしずくです笑。
今日は中分子医薬の中でも私の研究分野であるペプチド医薬品について、概説していこうと思います!
ちょっと難しい内容になると思いますが、ペプチド医薬品に対して、もっと知りたいって方はぜひ読んで見てください!
関連記事:【いま注目の創薬】中分子医薬品とは?大学で研究しているぼくがやさしく解説してみた
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どんだけの割合で開発されているの?
現在研究の盛んなペプチド医薬品は毎年、どのくらいの割合で、開発されてきているのかについてお話したいと思います。
FDA(Food and Drug Administration:アメリカ食品医薬品局)とEMA(European Medicines Agency欧州医薬品庁)によると、少し古いですが、2006~2015年の間で9つのペプチド医薬品が市場に登場してきています。
これは新規医薬品の中で3%を占めます。
ここから見てもペプチド医薬品がまだまだ発展途上であることが伺えますね。
また、現在臨床研究段階のものが20以上あり、ペプチド医薬品の期待が高まっています。
(参考文献)A.Zorzi, K.Deyle, C.Henis. Cyclic peptide therapeutics: past,present and future.Current Opinion in Chemical Biology. 38,24-29(2017)
ペプチド医薬品の例
ではペプチド医薬品の例を見ていきましょう。
代表例としてもっとも有名なは前回の記事にあげているようにシクロスポリン Aです。
シクロスポリンA
今回はもうすこし詳しく書いていきたいので、もう一つ上げていきたいと思います。
パシレオチドです。先端肥大症などの成長ホルモンの過剰分泌を抑える薬として、現在臨床化されています。
パシレオチド
この二つの例をよく見てみるとある共通点を見つけることができますが、みなさんお分かりでしょうか?
すこし考えてみてください。
答えを言う前に、次にペプチド医薬品の開発の際の欠点を上げておきましょう。
ペプチド医薬の欠点と解決策
ペプチド医薬の欠点
一般的なペプチド医薬を開発するのにあたり、欠点は以下のものが挙げられます。
- 鎖状のものは柔軟であり、標的特異的な構造を取りにくい
- 生体内で短時間で分解されてしまう
- 細胞膜を透過できないものが多い。
ペプチド医薬の欠点の解決策〜環状化の利点とは!?〜
さて、先ほど提起した共通点について、みなさんはお気づきになられたでしょうか?
答えは二つのペプチド医薬品は環状になっていることです。
環状にすることによって、何が嬉しいかについてこれから説明していきたいと思います。
まずは先ほどペプチド医薬の開発にあたり、欠点を言いました。
- 鎖状のものは柔軟であり、標的特異的な構造を取りにくい
- 生体内で短時間で分解されてしまう
- 細胞膜を透過できないものが多い
結論から言うと、鎖状ペプチドを環状にすることで、
上記の二つがある程度改善することができるのです。
もうすこし詳しく説明します。
まずは一つ目の鎖状のものは柔軟であり、標的特異的な構造を取りにくいについて
環状のものは鎖状のものに比べて、構造がある程度固定されることが出来ます。
したがって、決まった構造をとりやすいのです!
この構造が標的のタンパク質にくっつきやすい構造だと、非常に効果が出やすいんです!
また、ペプチドは低分子医薬品と比べると大きいので、
結合箇所が多くて、標的のタンパク質のみに結合しやすいのです!
したがって、標的特異性が高いということになります!
一方、生体内でペプチドは色々な構造をとりながら、常に動いているので、
鎖状のものはくっつきやすい構造をとりにくく、またくっついたとしても離れやすい。
次に生体内で短時間で分解されてしまうことについてお話ししたいと思います!
体内にはタンパク質、ペプチドを分解する酵素がたくさん存在します。
こういう酵素の中にはタンパク質、ペプチドを末端から分解していくものがあります。
そのため、ペプチドを環状化するとその末端がないので、こういった酵素には
分解されにくいです!
最後に三つ目の問題点、細胞膜を透過できないものが多いについて少しだけ
触れたいと思います!
前回の私の記事で
中分子医薬は低分子医薬と抗体医薬の欠点を補い、利点を兼ね備える可能性のあるものとしてとして注目を集めています!
つまりは副作用が少なく、細胞内の標的も狙うことができ、なおかつ安い。
と述べました。
【いま注目の創薬】中分子医薬品とは?大学で研究しているぼくがやさしく解説してみた
しかしながら、実際にはペプチド医薬は細胞膜を通過するものが少なく、ペプチド医薬のなんでも細胞膜を通過する訳ではありません。
したがって、この問題点を解決するために、ペプチド医薬の研究が日夜行われています。
その結果、最近では、この膜透過性の研究も進み、解決しつつあります!
これらについてはもっと詳しい説明がいるので、また別の機会に書きます!
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①「有機化合物の分離/精製 基礎から上級テクニックまで @ 異分野融合Bar」
②「有機化学Bar 〜有機分子の構造決定をしてみよう!〜」
終わりに
いかがでしたでしょうか。
今回はペプチド医薬研究で盛んに行われている環状化についてお話ししました。
近年、とても多くの注目を集めているペプチド医薬品でありますが、解決されるべき問題はまだまだ多く残っていますが、
研究者の日々の努力の結果、徐々に解決されることでしょう!
これを機にペプチド医薬品に興味を持っていただけるととても嬉しいです!
ではでは!
しずく
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