メディカルライターが教える論文の読み方① 英語の論文にビビらないために




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ワイルド研室長
フリーランスのメディカルライター、獣医師、PhD。専門は分子生物学、動物生理学。趣味は動物園めぐり、落語。

こんにちは。ワイルド研室長です。

本職はメディカルライターという仕事をしています。

毎日たくさんの論文を読んでは書き、読んでは書き、という仕事なので、論文に書かれていることを素早くかつ的確に把握する技を磨いてきました。

そこで今回から、論文を読むのが苦手な方や、研究をはじめて間もない学生さん向けに、少しずつその技を伝授していこうと思います。

私自身、医学や生物学が専門なので、その他の分野の論文については、自分の培ってきた技術が応用可能かわからないのですが、ある程度は参考になるかと思います。

今回のテーマは「英語の論文を読む」ことです。

 

みんなぶち当たる英語の壁

学生が研究室に所属して面食らうことの一つが、英語の論文を読まなければならないことでしょう。

研究をある程度続けてきた人でも、英語に対する苦手意識を持ち続けている人は多いのではないでしょうか。

そう、科学は英語で書かれているのです。

実は、難関大学に合格する英語力の持ち主でも、はじめから英語の論文をスラスラ読めるわけではありません。

私もかなり英語は得意な方でしたが、専門的な論文となると、1報ちゃんと理解するのに丸1日かかった記憶があります。

 

「英語」を勉強するべからず

日本人は特に、英語に対する苦手意識のある人が多いかもしれません。

また、受験の時に英語の点数が悪かったというコンプレックスがあるかもしれません。

だからといって、「英語の論文を読めるようになりたい」という人が、TOEICや英検などの勉強をし始めるのはちょっと違うと思っています。

(もちろん、英語力がある方が有利であることは間違いありません)

なぜなら、上で述べたように「一般的な英語力」と「英語の論文を読む力」は必ずしも一致しないと考えるからです。

むしろ私がまず鍛えるべきと考えるのは、研究分野ごとに知らなくてはならない固有名詞や実験方法など、「専門用語のボキャブラリー」です。

英語の論文を読むモチベーションが奪われる要因の1つが、いちいち辞書を引かなければならない面倒さではないでしょうか。

いくら全般的な英語力が向上しても、専門用語を1つ1つ調べなければならないという苦しみからは、なかなか解放されないのです。

逆にいうと、いくら英語ができないといっても、大学に受かる学力の人ならば、最低限の文法くらいは学んできたはずです。

学術論文では小説のように凝った表現を使うことはありませんので、苦手意識さえ払拭できれば、並の英語力でも、十分に太刀打ちできると思っています。

ですから、まずは論文を読みながら「専門用語のボキャブラリー」を増やしていくことで、「書いてあることを理解できた」という喜びをどんどん味わっていきましょう。

 

まずは10報読もう!

では、専門用語のボキャブラリーを増やすにはどうすれば良いでしょうか?

実はこれには楽な道はありません。

自分の研究に関連する分野の論文を読みながら、少しずつ増やしていくしかないのです。

でも、「英語力を上げる」という漠然としたゴールを目指すよりは、実は簡単なことです。

まずはとにかく10報、知らない単語を辞書で調べながら読んでみましょう。

10報という数字に確たる根拠があるわけではないのですが、自分の経験上、この数をこなした後は急に論文の内容が頭に入って来やすくなった感覚がありました。

必要なボキャブラリーが脳内に蓄積され、辞書引きの労力が大幅に削減されたからです。

また基礎研究の場合は、論文の中で「どんな実験をやっているのかわからない」という場合も多いかもしれません。

そのときは、実験手法についての英単語に加えて、ぜひ実験手法自体も調べるように意識をしてみてください。

マニアックな実験手法でなければ、大体はgoogleサーチで出てくるはずなので、10報読みながらその都度調べていけば、分野ごとの基本的な実験方法についても網羅でき、理解スピードも格段に早くなります。

 

「アップorダウン」をメインに読み解こう

もう一つコツを挙げるとすれば、実験結果を読むときには、測定したパラメータが「アップ」したか、「ダウン」したかに着目して読むことです。

なぜなら、医学や生物学の分野では、測定結果をコントロール(対照操作)と比較して、上がったか下がったかを評価している研究がほとんどだからです。

実際に日本語でも、「遺伝子発現量が上昇した」や「臨床症状が悪化した」のような表現をよく使うと思います。

それは言語が変わっても同じことですので、「アップorダウン」を理解できれば、実験結果を理解できたも同然なのです。

以下に、目印となる単語の例を挙げておきますが、これ以外のものが登場した場合でも、「アップorダウン」を判断できると理解が早くなると思います。

アップ↑系の動詞

increase, enhance, upregulate, rise, improve, induce, facilitate, activate, accelerate など

ダウン↓系の動詞

decrease, decline, reduce, downregulate, lower, suppress, repress, diminish, inhibit など

そして、アップorダウンを簡単な図にまとめながら読んでいくことをおすすめします。

たとえば、ブタブタミンという薬の効果についての論文であれば、次の図のように「何が何をアップ(ダウン)させたか」ということを図にまとめていくと、論文全体のストーリーが掴みやすくなります。

最近は、論文内にあらかじめこのような図が用意されていることも多いですが、論文内のどの部分がどのアップorダウンのことを言っているのか、確かめながら読むといいでしょう。

 

どうしても英語が苦手な人は・・・

それでもやっぱり英語が苦手だという人は、Google翻訳などのツールを利用しても良いと思います。

ただし、学術用語は日本語と英語で厳密に1対1対応しているものが多いですので、そのようなボキャブラリーを正しく翻訳できない場合が多いです。

将来的に「きちっとした科学の言葉」を、日本語でも英語でも話せるようにしたいなら、あまりオススメはできないのですが、そのような弊害があることを十分に理解しながら利用する分には、問題ないかと思います。

 

おわりに

いかがでしたでしょうか。

少しでも英語の論文に立ち向かう勇気を与えられていれば、嬉しく思います。

今後も論文を読むにあたって、役に立つテクニックなどを紹介していければと思います。

ご意見ご感想などあれば@wildlabjpまで。

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