【乳酸菌の健康効果や有益性】イメージだけじゃない、乳酸菌の人気な理由。

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AI

九州在住 / 某公立大学大学院生。管理栄養士養成過程を経て免許取得。今は乳酸菌の物質生産を研究中。読書、コーヒーと海外旅行が好き。食と健康オタクです。

こんにちは、AI(@kwhr_ai )です。

ヨーグルトや納豆などの乳酸菌が入った食品を、「なんとなく健康そう」なので食べる人も多いかと思います。そこで今日は「なんとなく」を知識に変えるべく、乳酸菌の有益性から健康効果まで、簡単にお話していこうと思います。

 

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乳酸菌とは?

乳酸菌とは、「糖を消費して作り出す物質の50%以上が乳酸である細菌類」のことです。平たくいうならば、ご飯(糖類)を食べて、物質(乳酸)をせっせと作る菌たちのことです。(乳酸菌の作り出す抗菌物質の記事内でも乳酸菌が生産する物質について触れていますのでご覧ください。)

乳酸菌は環境中に多く存在しており、食べ物はもちろん、土壌、草、野菜、河川、そしてヒトや動物の身体の中にまで幅広く存在しています。

 

乳酸菌の安全性

私たちの生活に密接して存在している乳酸菌。その安全性の高さから、アメリカの食品医薬品局(FDA)によって、一般的に安全なものと認められている食べ物や植物、生物に対して与えられるGRAS認証(Generally Recognaized As Safe)が与えられています。

また、高い安全性だけではなく、乳酸菌は以下のプロバイオティクスの観点でも重要だと見なされています。

 

プロバイオティクス・プレバイオティクス

プロバイオティクス(Probiotics)とは、「腸内細菌叢(フローラ)のバランスを改善することによって宿主に有益な作用をもたらす経口摂取可能な生きた微生物」のことです。具体的には、乳酸菌はもちろん、ビフィズス菌など善玉菌がこれにあたります。乳酸菌はプロバイオティクスの代表の細菌群です。

加えて、プレバイオティクス(Prebiotics)という言葉もあります。これは「宿主に有利な影響を与え、宿主の健康を改善する難消化性食品成分」のことです。具体的には、オリゴ糖や食物繊維(難消化性デキストリン)など、宿主の”エサ”となる成分が挙げられます。

この、プロバイオティクスとプレバイオティクスを合わせて「シンバイオティクス(Synbiotics)」といい、これらを積極的に食事に取り入れることが健康へ繋がると言われています。

このように安全性も高く、有益で健康に良いことから、近年では乳酸菌入り食品も注目されています。では、次に具体的にどのような効果があるのか代表的なものを解説していきます。

 

乳酸菌の健康機能効果

乳酸菌の健康・機能性は、その菌種によって様々ありますが、大きく二つの効果を解説していきます。

 

①整腸作用

乳酸菌(を含む食品)を摂取することで、腸内環境が整います。これは、乳酸菌が生産する酸(有機酸)によって、その周辺のpHが低下し、悪玉菌と呼ばれる菌が生育できなくなるためです。あるいは、生体防御効果として、🔗抗菌物質を生産します。しかし、乳酸菌の経口摂取では、腸内に安定化することは難しく排出されやすいため、毎日継続して摂取することを推奨されています。

ちなみに、「お腹に優しい」これは、乳酸菌により腸内環境が整うことで、お腹の調子が良くなることを指しています。

腸内環境が整い、悪玉菌も減って”善玉菌優位な状態”になることで、便通も良くなります。特に、善玉菌の代表である乳酸菌が生産する有機酸は、腸内を刺激し、腸の動きを活発にします。これにより、排便が促されると同時に、腸内の老廃物が外へ排出され、腸内環境を綺麗に保つことができるのです。

ヨーグルトを食べると腹痛/お腹を下すのはなぜ?

原因は複数あり、牛乳の糖質、乳酸菌種、温度の問題です。

牛乳は食物アレルギーで有名な食品ですね。そして、アレルギーとまでは行かなくとも、体質的に合ってない”乳糖不耐症“である方はたくさんいます。それは、ヒトによって消化・吸収しやすい糖質が異なるためであり、乳糖を苦手としている人が日本で多いのです。これは日本の食文化が関係していると言われています。(ヨーグルトに含まれる甘味料にも気をつけたほうが良いのかもしれませんね。)

さらに、乳酸菌の種類も原因の一つとしてあります。乳酸菌が、過敏に働きすぎると、腸の動きが促進されすぎて、お腹を下します。あるいは、体質的に合っていない乳酸菌であった場合、その効果は発揮できず、腐敗ガスの発生を招き、お腹が張るといった症状が現れてしまいます。体質的に合う・合わない乳酸菌というのは、診断や試験があるわけでもないので、様々なヨーグルト商品(乳酸菌入り食品)をまんべんなく食べてみる、これに尽きます。

他に考えられる可能性として、ヨーグルトの温度があります。通常、冷蔵庫で保存する食品ですので、食べるときも冷たいままで食べます。そうすると、お腹が冷えるため、腹痛や下痢を招いてしまうのです。

ヨーグルトで腹痛/お腹を下すという方は、これらのことを踏まえて製品選びや食べ方を工夫してみると良いと思います。

最近では、腸内環境を整えることで精神面でも良い影響を与えるという研究もあります。

 

②免疫賦活作用

インフルエンザの季節になると、赤いパッケージのヨーグルトがよく売れるようになりますが、これは乳酸菌の免疫賦活(ふかつ)作用によるものです。

“免疫反応”は、(1)自然免疫:本来私たちの身体に備わっている防御機能 と、(2)獲得免疫:後からゲットした防御機能 の二つに分けられます。

通常、身体の中に何らかの病原菌が侵入してくると、自然免疫(図上)に関わる樹状細胞やマクロファージ、NK細胞が病原菌を倒すために戦います。

これでも病原菌を倒せない場合、”獲得免疫”(図下)として、T細胞と呼ばれるものたちが病原菌を倒そうとします。あるいは、B細胞と呼ばれるものが、抗原(病原菌)に対して抗体(武器)を生産し、攻撃します。

乳酸菌は、この一連の免疫メカニズムにおける”活性化“を促します。NK細胞を活性化させるものや、またTh1細胞などによるサイトカイン(自然免疫の活性化を促す信号)生産を促進し、結果として宿主(私たち)の免疫力をUPさせるのです。

他にも免疫力を上げるためにアレルギーに対しても効果が期待されています。

 

その他のアプローチ

上記2つ以外にも、抗ガン効果、血圧の上昇を抑える、コレステロール値を低下させる、血糖値の上昇を抑制するなど生活習慣病予防効果をもつ乳酸菌も様々な研究で報告されています。今後はさらに詳細な研究が続き、新たな機能が明らかになると期待しています。

 

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身近なところに乳酸菌

日常生活で、乳酸菌と触れない日はないといっても過言ではないくらい、私たちの生活に密接に関わっている乳酸菌。昔ながらの発酵食品である味噌や醤油、漬物などには、乳酸菌が存在しています。また、国内だけではなく、海外の発酵食品であるザワークラウトやザーサイなどからも、たくさんの種類の乳酸菌が分離されています。また、野菜や果物、土壌や草花にまで乳酸菌は存在しています。

もちろん食べ物だけでなく、人の腸管内あるいは動物の消化器官からも乳酸菌は分離でき、本当に生活の中にいつでも存在していることがわかります。

最近は乳酸菌ブームということで、多くのメーカーから乳酸菌入り食品がたくさんリリースされています。こちらについては個人ブログにて紹介していますのでご覧ください。

「🔗【乳酸菌時代】店頭に並ぶ乳酸菌入り食品たち。」(個人ブログ 🔗WORK TO HEALTHへ)

腸を綺麗にしてくれるだけでなく、免疫力を高めたり、生活習慣病の予防にまで効果が期待できる、健康に良い乳酸菌。これから食生活に積極的に乳酸菌入り食品を取り入れて、“健腸長寿”を目指しませんか?

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