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Takashiです!この記事の読者にも、漫画を読む人はたくさんいると思います。特に日本は漫画大国であり、漫画に人生までも影響を受けてしまった人も多いでしょう。
最近は、医療系の漫画など、プロから見ても専門性の高い漫画が増えてきています。(そのうち、漫画が教科書になったりするのでしょうか?)
という話は置いておき、私も時々漫画を読みます。その中にサイエンス漫画「Dr.STONE」というものがあります。アニメも放送されています!なかなか面白いので、刺激されて理系にあこがれる子供が増えると嬉しいです!興味のある方はぜひ見てください!
この漫画の中で、主人公がまるで原始時代のような環境で「医薬品、サルファ剤」を作る。というシーンがあります。理系とーくで薬学を担当しているライターとして、この記事では「サルファ剤とは?作ることは可能か?」という点に突っ込んでみます!!
専門知識が欲しい方は
へどうぞ。関連記事:【Dr.STONE(ドクターストーン)】スターリングエンジンってなに?熱力学的に原理を解説!
目次
Dr.STONE(ドクターストーン)の概要
Dr.STONE(ドクターストーン)は、週刊少年ジャンプに連載されている、サイエンス漫画です。
(↑Amazonの「なか見!検索」で結構たくさん試し読みできます!)
週刊少年ジャンプに連載されている漫画ですが、男性はいい年していてもジャンプを読んでいる方が結構いますし、読者の理系人でこの漫画を知っている人は多いかもしれません。
Dr.STONEのストーリー [ネタバレ注意]
主人公は、天才科学者の高校生「千空(せんくう)」です。普通の高校生活を送っていたのですが、ある日地球上に光が降り注ぎます。その光の影響ですべての生物は石化してしまいます。ですが、数千年たった時、ある条件を満たしたことから千空の石化が解除され、人間に戻ることに成功しました。ですが、数千年のうちに、地球の文明は崩壊しており、まるで原始時代のような環境になってしまっていました。そこで、千空は一から科学文明を構築していくのです。
話は進み、千空たちはとある集落にたどりつきます。(この集落は、石化が起きたときに宇宙にいた千空の父たちが作った集落になります)その集落に、巫女「ルリ」という娘がいるのですが、病気を患っています。
その病気が「肺炎」なのですね。
ルリを肺炎から救うために千空たちは、肺炎の原因菌を除去するための抗菌薬(抗生物質)サルファ剤の合成に取り掛かります!
サルファ剤に関する内容は、20~40話で描かれています。内容が気になる人は、知らない人は次のまとめに行ってみてください!
ルリを肺炎から救うために千空がサルファ剤(サルファ薬)を合成
Dr.STONEの中で、サルファ薬という表現が出てきます。
この薬には、サルファ薬やサルファ剤という表現がありますが、薬学的には「サルファ剤」が一般的なので、サルファ剤と表記します。
サルファ剤とは
サルファ剤は、スルホンアミド系の抗菌薬に分類されます。
抗菌薬は、人に菌が感染したとき(赤痢、膀胱炎、敗血症 etc)に原因菌を除去するために用いる薬です。
現在の医療現場ではあまり使用されない薬ですが歴史的には大切な薬剤です。
漫画の中では、サルファ剤を作るか、ペニシリンを作るかというやり取りがありますが…
それぞれの代表化合物の構造は下の通りです。
ペニシリン1928年 アレクサンダーフレミング
プロントジル1932年 ゲルハルトドーマク
発見された時期はペニシリンの方が早いですが、どちらもノーベル賞クラスの世紀の発見です。
プロントジルは元々アゾ系の染料として使われていた化合物であり、抗菌活性があることが見出されました。
プロントジルは、人により化学合成されたものなので抗菌薬といいます。抗生物質ではありません。
一方、ペニシリンは菌が他の菌をやっつけるために合成した、抗生物質です。
上の二つの構造を見比べると、ペニシリンの方が複雑で合成しにくいことがわかります。特に漫画のような時代では、ペニシリンは合成するよりも、菌に作らせ、抽出する方が速いです。
ちなみに現在流通しているサルファ剤は、スルファメトキサゾールであり、トリメトプリムとの合剤として使用されます。
詳しく知りたい人は私のHPへ
本当にサルファ剤が作れるのか?
漫画は原始時代のような時代ですが、スルファメトキサゾールが実際に合成できるのか?
という疑問があります。
漫画の中では、硫酸を集めたり、アニリンを作ったりしますが、一見合成が難しそうな構造です。
ですが、サルファ剤にはいろんな種類があります。調べてみると、作れそうなものがありました。
ジアミノジフェニルスルホンやスルファニルアミドです。
どうでしょう?かなりシンプルな構造ですね!!
塩酸、アニリン、硫酸などから上の化合物を作るのはNH2の保護などが必要で結構難しい気がしますが…
簡単な方の、Sulfanilamideでも、N-アセチルアニリンの
1.スルホン化
2.スルホン酸 → スルホンアミド化
3.N-アセチル基の加水分解
の工程が必要になりそうですね。
まあでも時間をかければ可能でしょうかね?純度を気にしなければいけそうですね!
いや、でも、生成物の同定はどのようにしましょう…汗
僕だったら、患者を先に亡くならせてしまいそうです…泣
(CMです)
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最後に
結論として、ドクターストーンのような環境下でも、簡単なサルファ剤なら作れそうですね。でも結構な時間が要るはずです。
実はこの話にはオチがあって…、肺炎の原因菌は主に
肺炎球菌、インフルエンザ菌、マイコプラズマ
などなのです。この菌種の中で、サルファ剤がある程度効くとされているのは、インフルエンザ菌だけなのです。原因菌が違ったらサルファ剤では間に合わない可能性があります。(あ、インフルエンザ菌はインフルエンザウイルスとは別物ですよ!)
読んでいただきありがとうございました。
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