大学院と学部の違いは?博士(博士後期)・修士(博士前期)・学士、それぞれの違い

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副代表。有機化学と生物学、いわゆるケミカルバイオロジー研究者です。理系が輝く場所を作ります!6年薬卒で、薬局薬剤師としての労働経験があり、化学系薬剤師としても活動してます。

大学院関係の説明会で作った資料があったので、「学士、修士、博士の違い」について解説していきます!

大学に行ったことが無い親御さんや、大学まで行っても院までは行かなかった人にとって、「大学と大学院にどのような違いがあるのか?」ということは大きな疑問であると思います!

この記事では、そんな疑問にお答えします!

 

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学部大学院の違い

学部と大学院の違いは…

学部では、すでに知られていることを学びます

大学院では、研究で未知を探求・解明・創造します

もう少しわかりやすく言うと、「教科書を頭に入れるのが学部」「教科書を作るのが大学院」です。

 

大学院ではどうやって研究に取り組んでいるか?

大学教員、大学院(博士・修士)、学士についてまとめ上げた図を載せます!
(この図ですが、結構自信作なんです!w)

学士と修士と博士の違い

大学院と学部の違い 博士後期課程(博士)と博士前期課程(修士)と学部(学士)の違い

先にまとめた画像を上げてしまいましたが、ざっとこんな感じです。

ヨビノリさんも学部と大学院について説明しているので、よかったら見てください。

 

それでは細かい部分を説明していきますね!

この図を見ると、学部1~3年は簡単に1行でまとめられます。

つまり、「ただ座学勉強をしている」ということがメインで、それほど複雑なことをやっているわけではないのです。

高校とかの延長です。

ただ、学部4年では、研究室に配属され1年間卒業研究を行います。「大学院の体験」という感じに捉えてもらうといいかもしれません。

※詳細は、下を参照してください。

 

大学院も一言でまとめ上げると、未知と遭遇するために研究(木を切る)をしていると表現できます。

ですが、修士、博士前期、博士、博士後期など複雑な過程がある上に、

大学院にまで進学する人が少ないことから、世間からの認知度は極めて低いものとなっています。

大学院では、教授を中心に研究室という「チーム」を組んでいます。

このチームが一丸となって、森の中の「?:未知」に向かって、力を合わせて進んでいきます。

そして発見した「?」を論文で世界に公表します。

これが研究活動です。

このチームの中でも、研究の能力や熟練度に差があり、役割が異なってきます。

当然、熟練度の序列は、「教員⇒博士⇒修士⇒学部4年」であり、担当する研究テーマの重さ(切る木の太さ)も能力に応じて異なります。

教員の仕事は、実際に手を動かして実験するわけではなく、院生の研究活動に助言したり、研究計画を立てて研究費を獲得しています。

研究を進めるのは大学院生がメインで、院生はこの研究活動の中で研究のノウハウを獲得していきます。

そして、博士号、修士号、学士号などの「号」が付与されますが、これは各大学で基準づけられた一定以上の学力や研究力を持った者に対して与えられます。

同じ博士でも、出身大学によってレベルや基準が違うんですね…。

ここから下で細かい解説をしていきます!

 

学部 (学士)

すでに述べましたが、

学部1~3年では、教科書に載っている「すでに知られていること」を学習します。

教科書に載っている内容は、十年以上以前に発見された事実で、「確実である」と証明・検証されてきたことです。

人類がこれまでに蓄えてきた情報を、高校よりもはるかに深く、専門的に学習します。

このような教科書を使った「座学」に合わせ、時々「実験」「実習」の授業があります。

実験は、小中高でやった理科の実験を想像してもらえばいいと思います。

実習は、教育実習や、医療系であれば注射や聴診器の使い方などの実技関係になります。学校や病院に出向く現場実習もこれです。

 

学部4年生になると、研究室やゼミに配属させられて、大学院でやってるような研究に1年間従事します。

これが卒業研究というものです。「大学院の体験」と考えるといいでしょう。

始めは実験器具の使い方や文献の調べ方などを、修士/博士の先輩にマンツーマンで教えてもらいます。研究のテーマは先輩の手伝いのような軽いテーマだったりします。

この研究活動を通して、「もっと研究をしてみたい」と思った人が大学院に進学します。

※国立大を除くと、多くの人が大学院に進学せずに就職します。

 

大学院 (修士、博士)

すでに述べましたが…

大学院では、「まだ見つけられていない事実や、いまだない技術を開発・発見」します。

この発見を成し遂げるために日夜研究活動をしています。また、研究を進めるために、実験を行います。

この様に人類がまだ遭遇していない知的情報や技術を発見していくことが、大学院の大きな役割となっています。

 

国公立大では、研究結果を出すことが大きな役割であるため、院に進学する学生も沢山います。

大学院にも、修士課程と博士課程があります。次はこの課程の違いを解説していきます。

 

修士 (博士課程前期)

修士課程も、博士前期課程も、呼び方が違うだけで同じ課程と考えて頂いてOKです。

2年間の課程になりますが、6年制の医・薬学部にこの過程は存在しません(学士6年として修士と同じように扱われます)代わりに博士課程が4年あります。

修士では、学部4年生で1年間研究活動を積んできたということで、独立した研究テーマを与えられます。

ですが、1年研究をやってきたとは言え、研究の舵取り能力はまだまだなので、教員や博士の先輩と十分にディスカッションを重ね、沢山のアドバイスをもらって研究を進めていきます。

そして、「これぐらいの研究結果なら論文になりそう。新しい発見だ!」と認められれば修士号が与えられます。

※完全な論文になる必要はありません。

修士は2年間ありますが、これだけでは研究の舵取りや研究の計画を立てる能力は不十分なことが多いです。

そこで、「一人前の研究者になろう」と考える人が、博士課程に進学します。

 

博士 (博士課程後期)

博士にも、博士課程だったり博士後期課程といった呼び名がありますが、同じものと考えてもらってOKです。

博士課程にまで来ると、長年研究をやってきたこともあり「こんな研究をしてみれば新たな技術や知見になるのではないのか?」と、研究のプランを考えられるようになります。

このように自分で計画し、実践し、論文として発表するのが博士課程で身につく研究技術です。

研究室の方針にもよりますが、自分が考えたテーマに、学部4年生とかの後輩がつき、後輩の面倒を見ながら研究を進めることもあります。

これで指導力も身につきます。後輩と一緒に出す研究結果は自分の業績にもなるので、”高度な指導力”はとても大切です。

この他にも、研究室の器具・機器管理などを手伝うため、管理能力も身につきます。

 

takashi

修士課程は2年と短く、計画→研究→論文のプロセスが学びきれないことが多々あります。

さらに、後輩の指導も経験できないことがあります。

一人の人間が、修士課程まで行った場合と博士課程まで行った場合では、研究力、指導・管理能力に大きな差が生じます。

一人前の研究者になるには、博士課程に行くことが大切です!

 

そして3年の研究活動で得た、自分や後輩の研究データをまとめ、論文を書き、世間に新事実や新技術を公開することができれば博士号が与えられます。

大抵の大学において、論文1報を出すことが博士課程卒業の要件となっています。

卒業の際に、博士論文を書きますが、これはネット上に公開され誰でも読むことができます。

上述した通り、博士課程では計画から論文執筆までの研究を進める一貫したプロセスを習得します。

研究を進めるには、「何が問題か?」「どうすれば解決できるか?」という、ルート設計の能力や、「後輩をどう指導するか?」といった管理能力が必要です。

そのため、博士課程に行くことで、管理能力問題抽出/解決能力も培えます。

この管理能力問題抽出/解決能力は、研究とは異なるフィールドでも活用できる優れた能力です。

置かれた状況の問題点のピックアップと解決方法の提案ができるので、効率的な仕事を実現します。

博士の価値について書いた別記事があるのでぜひ読んでみてくださいね!

以上が博士課程の説明になります。

 

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まとめ

博士、修士、学士の違いについて、ざっくりとまとめてみましたが、ご理解頂けたでしょうか?

大学を知らない多くの方が、「大学=学部」と考えていますが、全くの別物です。

また、同じ大学院の修士と博士でも、大きな違いがあります。

「30歳にもなって、まだ大学にいくの?」などの声もあり、なかなか理解してもらえない大学院ですが、日本の技術力を維持するという、非常に大切な役割を担う機関です。

大学院は学部の後に行く過程なので30前後の歳になるのは当たり前です。周囲の理解がとても大切です。

そして、そうやって大学院まで行った研究者たちが、現在の日本の技術・科学力を高めてきたことを知っていただきたいと思います!

 

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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6 件のコメント

  • おはようございます
    理工学部一年生です。
    大学院へすすむかどうか悩んでいます。

    大学院へ進んで研究を深めていきたいと思っていますが、、何について研究するかは、これからの大学生活で絞っていこうとおもっています。

    大学院へいくということは、就職はしない、ということですよね?
    収入面は、親に頼るということでしょうか?
    例えば、大学院に通いながら、働けたりはするのでしょうか?

    • コメントありがとうございます。

      >大学院へ進んで研究を深めていきたいと思っていますが、、何について研究するかは、これからの大学生活で絞っていこうとおもっています。
      研究内容についてはまだまだ焦らなくても大丈夫だと思います! ゆっくり考えていってください。

      >大学院へいくということは、就職はしない、ということですよね?
      学部卒業直後、大学院在籍中は基本的に就職はしません。
      (大学院卒業後は、就職する方もたくさんいますよ(むしろ多数派)。)

      >収入面は、親に頼るということでしょうか?
      親に頼る人もいますし、自分でやりくりする方もいますね。奨学金もあります。

      >例えば、大学院に通いながら、働けたりはするのでしょうか?
      バイトやTA(ティーチング・アシスタント)、学振等々で収入を得て、学費や生活費にあててる人はいますね。
      忙しすぎてバイトができない研究室も無くはないので、そこは事前に調べたり、事前にお金をためておくと安心ですね。

      またお気軽にご質問ください。

      ともよし

      • ありがとうございます。
        少し安心しました。
        まだ、研究内容や、就職先、企業のことなど、知らないことばかりです。
        これから
        どうやって知っていこうか、道を開いていこうか、考えます。
        何かアドバイスなどありましたら、教えてください。

        • 少し安心、とのこと良かったです。

          アドバイスするとしたら…

          ・とにかく選択肢(研究、仕事、生き方等々)をたくさん知ること
          ・その中で気になるものがあれば、できるだけ深く調べてみること
          が重要だと思います。

          授業や講演等を聞いたり、学会・交流会等に参加して、可能な限り質問をしてみること。本を読むこと。
          気になる分野が見つかったら、その研究をしている研究者に連絡を取り、可能なら会って話すこと。
          はおすすめです。

          あと宣伝みたいになっちゃいますが、理系とーくラボ(https://community.camp-fire.jp/projects/view/269163 )みたいなコミュニティで、いろんな研究者と話すのもおすすめです。理系とーくラボだったら、みなさん相談に乗ってくれると思います。

          コミュニティに入るかどうかはさておき、色んな生き方をしている研究者、大学(院)既卒の人と話してみてください!

  • お返事ありがとうございます。
    学会や交流会など、しらべてみます。

    研究者や大学院生の方々にお話を実際に聞いてみたいとも思っています。

    コミュニティ、すごく気になっています。

    自分に何が向いているのか、
    どんな世界があるのか、
    色々と知りたいです。

    • ぜひぜひ。話す中で、得られる知識があったり、自分が何を考えているのか理解できたりすると思います!

      コミュニティ、よかったら覗いてみてください。何か不安・不明なことがあればご相談ください!

      学部一年ということで、どんどん世界が広がっていく段階にいらっしゃると思います。
      きっと、たくさんのことを知れる&気付けると思います。楽しみですね。

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