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みなさんは車に乗っていて
「暑いなー」
とか
「寒いな…」
と思ったら、何をしますか?
カーエアコン
をつけますよね?
でも、
「あんな狭い空間でどうやって室温を調整してるんだろう?」
って思ったことはありませんか?
今回は車のエアコンであるカーエアコンがどうやって車内を冷やしたり暖めたりしているのか、その仕組みをわかりやすく説明していきます。
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目次
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カーエアコンが車内を冷やす(暖める)仕組み
カーエアコンの冷房と暖房は空調の仕方が少し違います。
それぞれについて説明していきたいと思います。
カーエアコンにおける冷房の仕組み
夏場は、車の中は特に暑くなりますよね…。カーエアコンは欠かせない存在です。
でも、
「エアコンって電気がないと動かないんじゃないの?」
って思いますよね?
車内でも電気は使えます。
車内にはバッテリー(電池)が搭載されています。
車自体はガソリンで動きますが(最近は電気自動車も増えてきましたね)、それ以外の機能にはバッテリーが使われています。
このバッテリーは、オルタネーター[1]発電機。車のオルタネーターは、エンジンがかかることで回転して発電する。と呼ばれる発電機が発電することで充電されます。
さて、それでは本題のカーエアコンはどういう仕組みで動いているのでしょうか?
カーエアコンの冷却は、冷媒[2]近年、法規制の関係で自動車に用いられる冷媒として、従来用いられてきたHFC-134aから新冷媒HFO-1234yfへと切り替えられている。の蒸発の際に発生する気化熱によるものです。冷媒はカーエアコンに限らず、色々な場面で用いられています(冷蔵庫、室内エアコン等。)
冷媒は最初、低温低圧ガスとして存在します。これをコンプレッサー[3]カーエアコン部に搭載されている圧縮機。エンジン(オルタネーター)の動力で動く。で圧縮し、高温高圧のガスにします。
続いて、この高温高圧のガスをコンデンサ[4]ここでは、エアコン用の高温高圧ガスを外気で冷やし、凝縮する機能を持つ装置を言う。に運び、コンデンサファンで熱を放出し、高圧のまま冷やし、凝縮します。
こうして液状になった冷媒は、エキスパンジョンバルブ[5]膨張弁。微少なノズル穴がついており、コンプレッサーで圧縮された高温高圧の液体をここから噴射させ、気化させる。を経由して霧状にし、エバポレータ[6]室内機。減圧することで、液体を蒸発させる機能を持つ。内に噴射します。このときに一気に気化するわけです。
気化した冷媒がエバポレータ周辺の熱を奪い、エバポレータは低温になります。ここにブロアファンから風を送ることで、車内に冷たい空気が流れます。
こうして低温低圧になった気体が再びコンプレッサーに戻り、圧縮されます。
このサイクルによってカーエアコンが機能しているのです。
図.カーエアコンの仕組み
カーエアコンにおける暖房の仕組み
では、カーエアコンの暖房はどういう仕組みなのでしょうか?
実は、暖房に使う媒体も、エバポレータから放出された冷風です。
これをヒーターコア[7]車内暖房用の放熱機器。エンジンの冷却水を流して熱交換を行う。に経由させ、温風に変えています。
図.ヒーターコアを経由した暖房の仕組み
冷房に切り替える際は切替弁によって風の流れが変わります。
(参考)図.冷房と暖房の切り替え
なぜ冷媒を経由させているのでしょうか?
それはエバポレータが除湿機能を持っている[8]低温のエバポレータ付近にある空気が冷やされ、凝縮される。エバポレータは、その水分を車外に出す役割を持つ。ことにあります。
冬になると、暖房を付けた車内と寒い車外で温度差ができますよね?
人間も水分を持っているので、どうしてもフロントガラス等に結露が生じてしまいます。
結露を少しでもなくすために、カーエアコンから出てくる風は除湿されたものを使いたいというわけです。
そのため、エバポレータを経由する必要があるのです。
補足:カーエアコンを使わなくても車内は暖まる?
車内を冷やしたいときはカーエアコンを使わないと冷風が出てきませんが、実は暖めたいときはカーエアコンを使わなくてもよいのです。
エンジン車やディーゼル車にはヒーターがついていて、エンジンの廃熱を利用して車内を暖めることができます。温度調節ダイアルで温度をあげてやるだけで、ACボタンを押さずとも温度は上がります。
しかし、この場合は除湿機能がないため、フロントガラスが曇ってしまうのです。
そのため、温度差が大きい場合はカーエアコンを使った方がいい、ということですね。
カーエアコンと家庭用エアコンの違い
冷媒の気化熱により冷やすという仕組みは家庭用(室内用)エアコンでも採用されています。
では、カーエアコンと室内用エアコンでは何が違うのでしょうか?
カーエアコンは先程説明したとおり、経由する場所がエバポレータかヒーターコアかで、冷房と暖房の切り替えが行われます。
一方、家庭用エアコンは、冷媒の流れる方向によって冷房と暖房の切り替えがされます。
冷房のときは、室内に冷風を送る代わりに室外に温風を放出します。
暖房のときはその逆で、室内に温風を送り、室外に冷風を放出します。
図.室内用エアコンの冷房の仕組み
図.室内用エアコンの暖房の仕組み
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補足:電気自動車のカーエアコン
近年はヨーロッパの法規制に合わせ、電気自動車やハイブリット車の実用化、普及が進められています。
電気自動車はその特性ゆえに走行距離が短いと言われています。
空調に関しては、エンジンを使わないため、廃熱を利用したヒーターが付いていません。
そのため、どうしてもカーエアコンを使わざるを得ないわけですが、カーエアコンは燃費効率が悪いため、より進める距離が短くなってしまうのです。そのため、冬は走行距離が半分になる、なんて言われたりもします。
それを解決するために企業はカーエアコンに対して様々な取り組みを行っています。
たとえば、
PTC素子という半導体を使ったPTCヒーター、
熱交換機を用いた家庭用エアコンと同じ仕組みのヒートポンプエアコン、
車内でガソリンなどの化石燃料を燃やした熱源を使う燃焼式ヒーター
など。
燃費を向上させるために日々開発が行われているわけです。
現在は今挙げたものが主流のようですが、近い将来、新たな方式が発明されるなんてことがあるかもしれませんね!
References
↑1 | 発電機。車のオルタネーターは、エンジンがかかることで回転して発電する。 |
---|---|
↑2 | 近年、法規制の関係で自動車に用いられる冷媒として、従来用いられてきたHFC-134aから新冷媒HFO-1234yfへと切り替えられている。 |
↑3 | カーエアコン部に搭載されている圧縮機。エンジン(オルタネーター)の動力で動く。 |
↑4 | ここでは、エアコン用の高温高圧ガスを外気で冷やし、凝縮する機能を持つ装置を言う。 |
↑5 | 膨張弁。微少なノズル穴がついており、コンプレッサーで圧縮された高温高圧の液体をここから噴射させ、気化させる。 |
↑6 | 室内機。減圧することで、液体を蒸発させる機能を持つ。 |
↑7 | 車内暖房用の放熱機器。エンジンの冷却水を流して熱交換を行う。 |
↑8 | 低温のエバポレータ付近にある空気が冷やされ、凝縮される。エバポレータは、その水分を車外に出す役割を持つ。 |
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