しずく
最新記事 by しずく (全て見る)
- ペプチド医薬品の概説 - 2019年4月16日
- 【いま注目の創薬】中分子医薬品とは?大学で研究しているぼくがやさしく解説してみた - 2018年3月7日
- しずくの「自己紹介・おすすめ記事紹介」 - 2018年3月5日
こんにちは!しずくです!
初の投稿です!
今日は医薬品の大まかな話から、私の研究分野の中分子創薬についてお話ししましょう!
お薬について大まかに知りたい!って方、中分子創薬について知りたいって方、ぜひ読んでくださいね!
関連記事:ペプチド医薬品の概説
(CMです)
理系とーくの公式LINEに登録すると…
無料イベント、理系バー、科学系オンラインコミュニティの情報に加えて、
LINE登録特典としてプレゼント(有機化学のスライド資料)もお受け取りが可能です!
↓
医薬品とは?
低分子医薬品
そもそも医薬品と聞いたらみなさん何を思い浮かべますか???
よく薬局で買ったり、医師から処方されるお薬を想像される方が多いと思います!
薬局でお薬を買ったらとりあえず化合物名をググってみましょう!
このような構造式が書いてあると思います。
解熱鎮痛薬で有名なアセトアミノフェン
これらはたいてい低分子医薬品と呼ばれる分類に入ります。
風邪にかかったら、お薬を買った時、みなさんもお薬名をググってみて
あっ!低分子医薬品だ!(ニヤリ
として見てください笑
そんな余裕はない
低分子医薬品は分子量が〜500までの化合物ですね。見た目的に小さな化合物です。
抗体医薬
次に医薬品として有名なのが抗体医薬です!
抗体医薬はこんなの↓
みなさんは体のウイルスなどから身を守る仕組みとして、免疫系というものをご存知でしょうか?
その最後にウイルスなどをやっつけるものとして、抗体というものが関わっています!
抗体医薬品はこれらを利用したり、人工的に作ったりして治療に役立てています。
抗体医薬の分子量は数千~15万でとても大きいです。
低分子医薬、抗体医薬の他にも、
“核酸医薬”、“中分子医薬”、“ワクチン”、“遺伝子治療”、“再生医療”など様々ものが薬として実用化されたり、研究対象となっています。
この中で今回は私の研究対象である中分子医薬品についてお話ししたいと思います。
その前に低分子医薬品、抗体医薬の利点と欠点についてお話しします。
低分子医薬品、抗体医薬の利点と欠点
低分子医薬品も抗体医薬も多くは体内に存在するタンパク質を標的にして作られています。
薬となる化合物というのは、標的のタンパク質に結合して、タンパク質の機能を活性化させる。
またはタンパク質の構造を変化させて、機能を阻害するといったような形で作用します。
低分子医薬品の利点、欠点
低分子医薬品は分子量が小さいので、身体中のいたるところに入って行くことができます。
したがって、本来の標的としているタンパク質とは別の予想外のタンパク質に結合してしまいます。
これが副作用の原因です。したがって、低分子医薬品は副作用を伴うことが多いということが欠点です。
低分子医薬の利点としては身体中のいたるところに分布できるため、標的とできるタンパク質が多いことです!
あとはとにかく安い!
低分子医薬品は数千円で買えるのだからこれは私たちの手に渡りやすいですね!
抗体医薬の利点と欠点
続いて抗体医薬の利点と欠点をお話ししましょう!
その前に私たちの体の構成要素の最小単位である細胞は細胞膜で覆われています。
この細胞の中で色々なシグナルがタンパク質を介して常に起きています。
先ほど挙げた低分子医薬品はこれらの細胞内に入ることができますが、
タンパク質製剤は大きすぎて入ることができません。なので標的が細胞膜上のタンパク質や細胞外の標的に限られてしまいます。
あとは高い!
抗体医薬に関して言えば、少し前に話題となった抗ガン抗体ニボルマブ(商品名オブジーボ)2017年で1750万円/年
します。
これが欠点です。
抗体医薬の利点としては副作用が比較的少ないことが挙げられます。
抗体医薬も体内を血流に乗って、体内をめぐりますが、主に標的とするタンパク質に対して、結合箇所が多いです。
したがって、低分子化合物よりも特異性が高く、副作用が少ないのです。
まとめると
低分子医薬品
利点:標的が多い、安い
欠点:副作用が多い
抗体医薬品
利点:副作用が少ない
欠点:細胞内の物質を標的にできない、高い
です!
中分子医薬品とは!?
さてそれでは私の研究テーマである中分子医薬品についてお話ししたいと思います。
中分子医薬品はその名前の通り、低分子とタンパク質製剤の中間の医薬品です。
何が中間かというと分子量です!
中分子の分子量はきちんとは定義されていないのですが、500~2000です。
代表的なのがこいつ↓
シクロススポリンAです。現在免疫抑制剤として活躍中です!
こいつの構成要素なんだかわかりますか?
アミノ酸です。(シクロスポリンAの赤い部分はアラニンと呼ばれるアミノ酸が入ってます)
アミノ酸は複数繋がるとペプチド、もっと繋がるとタンパク質と呼ばれます。
この化合物はアミノ酸が複数繋がって環を形成しているので、ペプチドですね
したがって中分子医薬の代表がペプチド医薬です。
現在臨床化されている中分子医薬は少ないのですが、
中分子医薬は低分子医薬と抗体医薬の欠点を補い、利点を兼ね備える可能性のあるものとしてとして注目を集めています!
つまりは副作用が少なく、細胞内の標的も狙うことができ、なおかつ安い。
これからも多くの中分子医薬品が臨床化されるように私も頑張っていきたいと思います!
(CMです)
LINE登録特典ができました!
有機系博士ともよしがイベントで使用したスライド資料①②の2点です!
↓
①「有機化合物の分離/精製 基礎から上級テクニックまで @ 異分野融合Bar」
②「有機化学Bar 〜有機分子の構造決定をしてみよう!〜」
創薬の小話〜薬の元は最初どうやって見つけるの〜
ざっくりと私の研究している中分子創薬についてお話しさせていただきました。
ご理解いただけたでしょうか?
最後に私が学部時代に感動した小話を1つ紹介しましょう!
薬は最初どうやって見つけるのか疑問を持った方いるのではないでしょうか?
その前にニッチという生物用語についてお話しします。
よく『ニッチが同じ』と使われたりします。
日本語で訳すと『生態学的地位が同じ』ということです
例えば、森の同じところに生息する2つのキノコとカビがあるとします。
キノコとカビは2つは同じ菌類であり、ニッチが同じということになります。
キノコにとって栄養分をカビに取られたりすることを考えると、キノコにとってカビは邪魔ですよね。
なので、カビをやっつける物質をキノコが作ることがあります。これが抗生物質と呼ばれるものです。
こういうことが細菌などにも存在してそれらが作る抗生物質を参考にして、薬のヒントとなる化合物を見つけていくわけですね!
私の研究分野の中分子医薬品も、昔からある低分子医薬品もタンパク質製剤、はたまた、その他の医薬も元々は生物がつくる化合物を模倣してできている、またはそれを少し改造してできています。
つまり薬は生物の恩恵を受けて出来ているのです。
いやー
生物ってすごい!!!
ではでは今回はこの辺で
ご覧いただき、ありがとうございました。
しずく
関連記事:ペプチド医薬品の概説
コメントを残す