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こんにちは、わもんです!
今回は私が所属している医工学系学科に関するお話をしたいと思います。
総合大学の工学部や理系大学には、「機械工学」「電気電子工学」「情報工学」「建築学」「化学」といった学科はほぼ間違いなく存在するはずですし、学ぶ内容のイメージは比較的付きやすいかと思います。
しかし、医工学科や医工学を専門に学ぶことができる大学は近年増えてきましたが、現在でも多くはありません。また、大学によっては「リハビリ用ロボット」「医療材料」「CTやMRI画像を用いた画像処理」を研究対象としている研究室は存在しますが、学科単位で学ぶことができる場所は非常に限られています。
医工学系の学科そのものの知名度も、他の学科と比べると小さいかもしれません。しかし、医工学を大学で学ぶという事は知名度とは反対に大いなる可能性を秘めているということを断言できます。
今回は単純に医工学に興味がある方や理系高校生に向けて、医工学とはなんなのか?、何を勉強するのか?などをお話したいと思っています。
目次
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医工学とはなにか?
「医工学」とは文字通り、医学の分野と工学の分野を融合した分野です。もう少し具体的に言うと、「機械」「電気電子」「情報」などの工学部でまなぶことができる知識や技術を、医療分野に適用するということで医療の発展に貢献するための分野となります。
この医工学の顕著な例が、いままで私が記事で紹介してきたAEDやペースメーカーなどといった医療機器となります。ほかにも医療機器は、内視鏡・超音波検査の装置・手術ロボット・人工心臓弁などといった医学系ドラマでよく目にするものや、体温計・血圧計・補聴器などのふだんの生活で目にするようなものもたくさんあります。
私の医療機器の紹介記事には、以下の2つがあります。他のさまざまな医療機器については、今後記事で紹介していく予定なので楽しみにしていてください!
AEDについて:知っているようで知らないAEDの原理についてお話しします!
ペースメーカーについて:医学と工学の技術の結晶「ペースメーカー」をざっくり解説します!
なんで医工学が必要なの?
これまでで、医工学は医学と工学の知識が融合して成り立つ分野であるということをわかっていただけたと思います。つまり、医工学系の学科では工学の知識と医学の知識をそれぞれ独立に勉強する・・・だけでは物足りません!
例えば、お医者さんは医学に関するスペシャリストではありますが、複雑な機械のしくみや機器の回路などの電気的な構成について詳しい勉強はしていません。また、技術者はものづくりや機械の設計に関してのスペシャリストではありますが、人間の生体などに関する医学の知識を勉強していません。
お医者さんが「こんな医療機器がほしい!」といった時、技術者は言われたとおりの性能を満たすだけでなく、人間に対して安全に使うことができて、適切な効果が得られることを保証したうえで製品として仕上げる必要があります。このような場合に、お互いがお互いの知識について理解していなければ、うまく言いたいことが伝わらずにお医者さんが本当に望んでいる機器が出来上がりません。
つまり下の図のように、医師の要求が技術者にただしく伝わらない可能性があるということです!
このような場合に、医学と工学の知識を併せ持った人たちが必要となります。医工学を学んだ人は、機械・電気・情報の知識を基に医療分野に応用する知識を持っているので、お医者さんほどではないにしても人間に使っても問題ない金属素材・電圧や電流、人間の生体の知識を持っています。
医工学の専門家(M.E.)は、お医者さんと「こんな医療機器を作って」「わかった」という直接的なやり取りができる以外にも、お医者さんからの要求をものづくりの専門家である技術者に「こういう材料を使って~、大きさは~、重さは~」というような具体的な要求を伝えることができる、医師と技術者の橋渡しのような役割を担っているとも言えます。
どんなことを勉強するの?
医工学系の学科の講義では工学を医療へ応用するために必要な知識を学ぶため、さまざまな分野の勉強ができます。大学で学ぶ一般科目は除いて、学科として学ぶ専門科目の内容をいくつか示します。
機械系:ロボット工学、材料力学、機械要素 など
医療機器には内視鏡や手術器具、手術ロボットなどのさまざまな「機械」が組み合わされて成り立っています。前に述べてきた、生体にやさしい材料の選定、要求される大きさや重さ、安全率などを考慮した設計が必要となります。下の図のような工場のラインで導入されているロボットアームは、機械系で学ぶ知識を応用した顕著な例となります。
電気・情報系:電気回路、プログラミング、画像処理 など
医療機器の正常動作のためには機器の外観部分だけでなく、内部の回路や情報を処理するための部分が必要となります。例えば、モーター制御のための回路、取得した医用画像から病変部を見つけるために画像処理を用いたりといったことがあります。ロボットなどに搭載するプログラムには、誤動作をしたときに緊急停止する安全装置を作動させる仕組みを組み込む必要があります。これは手術ロボットも例外ではありません。
医学系:生理学 など
医工学系の学科では、人間の生体に関することを勉強しなければ医師と対等に、必要な医療機器の使用を話し合うことができません。そのためにも、生体内外の知識を習得しておく必要があります。医療機器を適用する場面に応じた生体の知識や解剖の知識も知っておく必要があります。
医工学系:生体計測方法、医療機器のしくみ など
工学系・医学系の知識を独立に勉強しても、それを役立てることができなければ意味がありません。そのために、生体信号の計測、医療機器のしくみ・設計などについて学びます。先人たちが開発してきた技術について学ぶことは、新しい医療機器・改良を行っていくうえで非常に大切な要素となります。
このように勉強する分野は非常に広いことが特徴です。これは医工学の適用範囲が多岐にわたることから、自分の必要な知識を深く学ぶときに基礎知識を身に付けておけばスムーズな理解の助けになるためだと思っています。
どんなところに就職する?
・医療機器の開発系
・医療機器の審査業務
・産業機器の開発系
・官公庁
具体的な会社名としては、”オリンパス、日立製作所、ジョンソンエンドジョンソン、島津製作所、テルモ、日本光電”などの医療系の企業や、”ソニー、任天堂、キャノン、富士フイルム”など近年医療機器に力を入れている企業が多いです。
見てご理解いただけたと思いますが、医工学系に進学したからといって医療系企業しかないということは全くありません。なぜなら、他学科でまなぶ「機械」「電気電子」などの科目をベースに研究を行うための学科ですので、医療系とは関係のなさそうな企業にも就職が可能であるという事です!
医工学系学科を選ぶと、こんなふうに就職の選択肢が増えると思いますよ!!
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まとめ
つまり、私が言いたいことは
・医工学はこれからの時代に需要が大きくなる可能性を持った分野である
・工学・医学をまたぐ勉強をするため、分野へ応用する考え方を学ぶことができる
・(上記の理由で)就職できる企業の分野が広い
・興味の幅が広い人には、かなりおすすめ!!
です。
質問・ご意見などありましたら、私のtwitter(@wamoaza0222)まで遠慮なくご連絡ください。
それでは、ありがとうございました。
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