研究職の仕事はつらい?:ポスドクや社会人研究者に聞いてみた

社会人研究者にインタビュー!研究を仕事にするつらいトコロ

現在大学院生で、就職に迷っている人。

研究職にするべきなのか?

でも研究職ってブラックって聞くしなぁ…。

実際のところはどうなんだろう?

そんな

「就活に向けて研究職を検討しているが、ブラックなのかどうか知りたい!」

「社会人研究者の経験談を聞きたい!」

という人に代わって筆者が理系とーくラボに所属する社会人研究者にインタビューしてきました。

本記事では海外ポスドク、公的研究機関に勤める方、そして民間企業に勤める方の話を紹介します。

インタビューから明らかになった、社会人研究者としてのつらいトコロとは?

就職先に研究職を検討している人は必見の記事です!

最後までご覧ください。

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研究を仕事にすると結果を求められるからつらい?

この章ではアメリカで博士研究員(ポスドク)として働いている筆者の経験談を紹介します。

海外ポスドクのつらいポイントを見ていきましょう。

より結果が求められる

ポスドクとは研究費から給料をもらっている博士の総称です。

すなわち研究で給料をもらうということ。

当然、自分の行っている研究や実験の「結果」に対する対価として給料が発生します。

結果が出ないならクビになる覚悟もある程度必要。

そもそも結果を出せなければ自分をサポートしてもらうための研究費を獲得してもらえません。

自分のクビをつないでおくために研究結果を出し続けなければならないのです。

筆者はここまで4年間アメリカでポスドクとして働いてきました。

周囲を見ると1~2年で帰国する人が大半です。

研究費がなくなったという理由だけでなく、個人的な事情で帰国する場合もあるでしょう。

なので運よく比較的長い期間、1つの研究室でポスドクをやらせてもらっています。

しかし「来年や再来年は雇ってもらえるのか?」

「教授が提出した申請書が却下された。ワタシの実験結果が不十分だったのか?」

そんな苦悩を抱えながら研究を行っているのが実際のところ。

自分の存在価値を示すために今日も結果を出さなければならないのです。

ここが、学費を払っていれば身分が安定していた大学院生時代と大きく異なる点ですね。

その分研究に集中できる

結果が出せなければ自分のクビをつないでおけない。

それだけのリスクを筆者が許容する要因は何なのか?

それは圧倒的に整った研究環境です。

ポスドクであれば研究以外の雑務はありません。

朝から晩まで実験していればオッケー。

結果を残せているなら、朝から晩までいる必要もむしろありません。

午前中または午後だけ仕事して帰る人もちらほら見かけます。

筆者も9‐5時だけ仕事をすると割り切って実験を進めています。

たまに避けられずに夜遅くなることもあります。

しかし博士課程時代の毎日14時間研究に費やしていた頃とは全然違います。

あの頃はお金を「払って」いました。

そのため博士号をとるために求められるものが不透明かつ曖昧。

毎日限界まで研究に従事することが、博士号をとるための要件だと誤解していたのです。

一方でお金を「もらう」現在。

研究結果への対価としてお金を得ています。

求められるものは結果だとわかっているのです。

もっといえば、求められるものは有意差ですね(笑)

そのため大学院生時代より明確な基準が設定されているといえます。

これらの点が、大学院生としての研究とポスドクとしての研究の大きな違いであると筆者は感じています。

~たけひろから就活生へのメッセージ~

海外楽しいぞ~!早く来ないともったいない!

研究を仕事にすると能動的になれないとつらい?

ここからは公的研究機関に勤める修士卒の方の意見を見ていきましょう。

筆者とは違う観点から大学院生としての研究と、社会人としての研究の違いを説明してくれました。

還元先を意識した研究が必要

公的研究機関に勤めるようになってから意識し始めたこと。

それは「還元先」を意識することです。

なぜなら給料が税金から支払われているから。

大学院生時代は自分の追い求める疑問や仮説のみを研究していました。

しかし今は「この地域コミュニティには何が必要なのか?」

「自分が学んできたことを地域住民の生活に役立てるためにはどうするべきか?」

そういったことを意識しながら研究に従事しています。

研究できる範囲が狭くなった、自分のやりたい研究ができない。

そんな低レベルな問題ではありません。

自身が大学院で学んできたことを社会に還元する。

学びを自分の中だけで完結せずに周囲にアウトプットする。

これにより自分の研究能力が研ぎ澄まされていくのです。

これが還元先を意識するようになって変わったことですね。

指導教員ではなく自分が研究を主導する

現在の職場では自分の研究テーマについて詳しい人が、私以外に1人しかいません。

もちろんその方も何でも知っているわけではありません。

そのため自分の研究に必要な実験や機器、試薬を自分で考える立場になりました。

自分一人で研究が立ち行かない場合に必要な共同研究者も、もちろん自分で見つける必要があります。

しかしそこはさすが公的研究機関。

全国の研究機関の研究者が集まる会議や、その他学会への参加が可能です。

参加者は研究に意欲的な人ばかり。

こういった場で共同研究のきっかけができることが多いですね。

また指導教員がいなくなり、大学から公的研究機関に移って不便に感じることもあります。

それは気軽に質問できる相手がいなくなったことです。

大学院生時代は最低でも1週間に1度は指導教員とのミーティングがあるはず。

そこで実験がうまくいかない原因について質問できますよね。

しかしいまは自身が研究を主導する身。

質問する相手などいるはずもなく。

疑問の答えを論文から引っ張り出すしかありません。

時には論文に載っていないことも…。

こういった場合、大学院生時代の指導教員と連絡を取るようにしています。

指導教員にとっても教え子の近況は気になるもの。

いつも気前よく質問に答えてくれますね。

~就活生へのメッセージ~

還元先を意識し、自分が研究を主導する立場になったからこそ成長できた部分が多くあります。

研究職を目指す皆さん、頑張ってください。

研究を仕事にすると雑務があるからつらい?

最後にもう1人、博士課程修了者の意見を紹介します。

この方は博士号を取得したのち、民間企業の研究者として働いていらっしゃいます。

雑務が多いイメージのある研究職ですが実際のところはどうなのでしょうか?

大学と民間企業を比べた時の印象を聞いてみました!

特に雑務が多いとは感じない

雑務は特にありません(笑)

私自身も驚くほど、研究に集中できる環境が整っていました。

これにはおそらく私が就職2年目の若手であることが寄与しているのでしょう。

上司を見ていると、ミーティングに忙殺されているようですので。

偉くなればミーティングなどの雑務も増えるのでしょうが、そうでなければ研究こそが仕事になる人が多い印象があります。

大学との大きな違いは資金力

大学との大きな違いはやはり資金力ですね。

企業ではすでに販売している商品の売り上げを研究費に使えます。

なので既出の商品が売れれば売れるほど研究費が潤沢になります。

私が大学院生を過ごした研究室は基盤CやBでやりくりしていた小さなラボでした。

なのでこの資金力にはいまだに驚かされます。

もう1つ挙げておきたい大きな違いは、プロジェクトが終了する可能性があることです。

大学院では実験結果が出ないから研究テーマを変えることがあったかもしれません。

ですがおおむね研究の方向性は一緒でしたよね?

企業では違います。

あくまで企業は営利団体。

利益につながらないと判断された研究は取りやめ。

もしくは売却した方がいいと判断される研究事業もあります。

どちらの場合もチームは解散。

メンバーは様々な部署に割り振られることになります。

これまでやってきた研究とは異なる研究をやることになるかもしれません。

そもそも全く異なる業務に割り振られる可能性もあります。

こういったリスクがあることを、民間企業を目指す大学院生には知っておいてもらいたいですね。

~就活生へのメッセージ~

大学院に進学したときの知的好奇心を忘れずに!

まずは目の前の修士論文、博士論文に集中しよう!

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まとめ

研究を仕事にするとつらいトコロのまとめ

以上!

あなたの大学院生活に幸せがいっぱい訪れますように。

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