理系学生のための留学のススメ

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アヤカ

医学系博士学生(D3)専門は皮膚科学・薬剤学です。神戸元町理系Bar「bms」の元店長。見習いサイエンスコミュニケーター。理転・留学・院進・飛び級・就職などの進路相談が得意。

Hello! アヤカです♪

この記事を読んで下さっている理系学生の皆さんは、留学に興味はお持ちでしょうか。

今日は多忙な理系学生にとって、何かと敷居の高い留学について少し考えてみようと思います。

※この記事で書かれている「留学」は語学留学のことではありません。具体的には・海外の高等教育機関で専門的な学問を学ぶこと・インターンシップに参加すること・専門技術習得のための研修などを目的とした「(英語圏への)専門留学」を前提としていますのでご理解下さい。

 

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理系学生は英語が苦手?

私大の理系学部に通う方なんて特に、「高校時代は英語が苦手だったから、大学入試では試験科目から英語は外した」という方も少なくないかと思います。

事実、理系学部に比べて文系学部の方が、大学入試において圧倒的に英語の配点が高く、文系学生の方が必然的に受験勉強として英語学習に費やす時間が長くなります。

入学後も、理系学部は文系学部に比べて履修要件として求められる外国語の単位数が少なく、大学で学ぶ機会が少ないだけでなく、専門教科の勉強が忙しくて個人的に英語学習に時間を割くのが大変だったりしますよね。

2017年度新卒者のTOEIC平均スコアを見てみますと、文系出身者で529点、理系出身者で459点とその差は70点と、実際に文系出身者よりも理系出身者の方がTOEICスコアが低い傾向を示しました。(国際ビジネスコミュニケーション協会調べ)

<文系・理系別>新入社員のTOEIC L&R平均スコアと受験者数

実際に私も周りで「英語が苦手だから留学なんてとてもじゃないけど行けない」といった理系学生の声をよく耳にします。

このように英語に苦手意識を持つ学生が多いことからも、理系学部が文系学部に比べて、留学にチャレンジする学生が少ない理由の一つである思います。

 

理系学生が「留学」に消極的な理由は「英語力」だけではない

理由① 専門的な留学プログラムが少ない

今やどこの大学でもそれなりに交換留学のプログラムが充実しており、手軽に留学サポートが受けられる時代になってきました。

しかし実際は、国際交流や異文化体験・語学習得などを目的としたプログラムがほとんどで、なかなか理系学生向けの専門性の高いプログラムは少ないのが現状です。

自身の大学で魅力的なプログラムがなければ、留学する目的や必要性、意義を見出すのは難しいですし、それが理系学生の留学意識がなかなか上がらない大きな原因の1つでしょうね。

 

理由② キャリア遅延への懸念

浪人や留年・休学・ギャップイヤー・育休産休などで、自身のキャリアを一時中断してしまうことを「キャリア遅延」と言います。

理系学部では履修要件が特に厳しく、単位交換が出来ない・・・なんてケースが非常に多いです。その為、長期留学を考えている場合は大学を休学する必要が出てきます。

休学してしまうと、必然と社会に出るのが遅くなりキャリア遅延が生じてしまいます。

周りから遅れてしまうことの不安や就職活動への影響を懸念し、留学をためらってしまう学生も少なくないでしょう。

 

理由③ 経済的負担への懸念

留学するとなると、学費だけでなく、生活費や渡航費でかなりお金が必要になります。

オーストラリアの大学へ1年以上留学する場合、現地でアルバイトや有給インターンシップに参加することを踏まえても、最低でも300万円以上は見積もらないといけません。

[参考]オーストラリア留学センター「長期留学に必要な費用」

ただでさえ理系学部は文系学部に比べて学費が高いのに、こんなに大金が必要になると簡単には決断できませんよね・・・

 

いやいや、理系学生が留学するメリットは多大!

英語は苦手だし、大学に留学制度ないし、休学したくないし、お金ないし留学なんて・・・って、そんなことで留学を諦めてしまうのは勿体無いです!

理系学生にとって嬉しい留学のメリットを5つご紹介します。是非参考にしてみて下さい。

 

メリット① 大学院入試で有利になる

大学院入試では、英語(TOEICやTOEFLスコア換算、または独自の英語筆記試験)+専門教科+面接(口頭試問)が一般的です。

どこの大学も基本的に英語力を重要視しており、英語の試験に足切り点を設定していることがほとんどです。その為、ほぼ英語の出来次第で合否が決まるといっても過言ではありません。(大学によっては専門教科無しで英語+口頭試問のところもあります)

私の場合、英語漬けの長期留学から帰国して3ヶ月後に院試を受けた為、英語の筆記試験に関しては何も心配することなく試験に臨めました。

留学すると英語に自信がつきますので、外部受験する人にとっては大きなプラスになると思います。

 

メリット② 日々の研究活動で大いに役立つ

大学院生の方は、日々痛感されていると思いますが、理系の学生って想像以上に英語力が問われるものです。

なぜなら、日々の研究活動において英語の文献やプロトコルを正確に解読することは当たり前にできなければいけないし、(特に博士課程では)多くの講義が当たり前のように英語で進行されます。

さらに、ラボにもよりますがラボミーティングは英語で行うといった所もあるでしょうし、留学生のお世話をしなければいけない場合もあります。

また、英語で論文を執筆したり、国内外問わず様々な学会に参加し、英語で研究発表する機会も必然と訪れます。

英語で進行される授業を100パーセント理解したり、英語で論文を執筆したり、研究内容をディスカッションしたりすることは、簡単なことではありませんし、事実、このような実践的な英語力を必要とする場面に直面した際に苦労している学生は非常に多いことでしょう。

一方で、こういった場面において、留学経験のある学生は強いです。留学で培った実践的な英語力があれば、リサーチするにあたっても圧倒的に短い時間で多くの情報を得ることができますし、研究活動がスムーズに行くことは間違いないでしょう。

 

メリット③ 海外に人脈が広がる

高校の時から、理系クラスで、気付けば同じような価値観を持った人達と長時間同じ空間にいる事が多くなっていませんか?

理系の道に進むと、同じクラスや同じラボなどの閉鎖的コミュニティーのせいでどうしても視野が狭くなりがちです。

留学の最大のメリットは、人種や言語、宗教、文化を超えた人達との出会いです。

常識なんてその国によって全然違いますし、自分では当たり前だと思っていることでも、海外ではそのまま通用するとは限りません。

様々なバックグラウンドを持つ人達との出会いは、きっとあなたに”柔軟性を持つ必要性”を気付かせてくれますし、新しい考え方や生き方を教えてくれるでしょう。

物事の見方や受け入れ方が変われば、新しい発見や発想に繋がる可能性だってあります。これから理系分野で活躍したいと考えている人にとって、必ず有益な経験になることでしょう。

また、世界中に広がる交流や繋がりは将来、自分が困った時に助けてくれる存在になったり、共同研究や仕事上のパートナーに発展することもあります。

きっと、人生において貴重な財産となることでしょう。

 

メリット④ 就職活動で武器になる

最近は理系の業界でも国際化を意識し、英語を社内公用語として採用したり、昇進・昇格にTOEICやTOEFLのスコアを必要とする企業が続々と増えてきました。

そのため、特に外資系企業や海外出張の多い企業などにおいては、留学経験が優遇される時代になってきました。

しかし、留学経験がある理系学生はまだまだ少ないので、理系学生にとって留学経験は大きなアピールポイントになると思います。

留学中「大きなプロジェクトに携わった」「インターンシップに参加した」等の経験があれば、さらに大きな評価に繋がるでしょう。

また、明治大学では留学経験と年収の関係について、このような調査結果を報告しています。

留学の有無で年収に大差 明大が大規模追跡調査

 海外の大学で学位を取った人は、留学経験がなく国内大学を卒業した人に比べ、就職後の年収が男性で平均70万円、女性で同109万円多いことが、明治大の横田雅弘・国際日本学部長(教育学)らのグループの調査で分かった。留学経験者の方が柔軟性や忍耐力が高まったと考えている人の割合が高いことも判明した。

留学経験で年収にここまで差が出るのですね・・・生涯年収で考えるとかなり大きな差になりそうです。

 

メリット⑤ 人生何が起こるかわからない

稀なケースですが、留学中にお世話になった偉い先生やメンターの推薦を受け、そのまま現地で院進したり、現地のインターンシップを経てそのまま採用に至る例もあります。

(実際私も幸運なことに、インターン先の病院の院長先生から、うちで医療事務として働かないかとオファーを頂きました。今頃オファーを受けてシドニーでOLをしていたかも・・・って思うと全く違う人生になっていましたね。)

はたまた留学先で出会った人と恋に落ちて結婚する・・・なんて人も実際に多く見てきましたし、一言で留学と言えども、人それぞれ二つと無い出会いがあるわけですから、本当に人生何が起こるか分かりません。

人生において大きなインパクトが与えられる経験だからこそ、留学が大きな転機になる可能性が十分にあります。冒険心を持ってチャレンジしてみるのもいいかもしれませんね。

 

それでもやっぱり経済的な懸念は大きい?

留学にチャレンジしてみたい!って思う方に、まずはじめに立ちはだかるのは「お金」という高いハードルですよね。

実際問題として、「経済的懸念」が留学を諦める理由のなかで一番多いように思います。

しかし、大きなお金が必要という理由だけで留学をあきらめてしまうのは非常にもったいないです。

 

留学に奨学金があるのを知ってましたか?

あまり認知されていないのですが、日本学生支援機構や文部科学省、その他財団法人など、留学や海外インターンシップにかかる費用や生活費を奨学金として給付してくれる団体が実はたくさんあります。

採用されれば、お金をかけずに留学することが可能になりますので、経済的な負担は一気に解消されることになります。

これから留学を考えている方は、一度よく調べて申請してみるのもいいかもしれません。

以下にリンクを貼っておきます。参考にしてみてくださいね。


独立行政法人日本学生支援機構

 

トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム

 

海外留学奨学金支援サイト検索


 

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最後に

いかがでしたでしょうか。

これから留学に関する記事を続々とアップして、理系学生の皆さまの留学に関する色んな不安や疑問にお答えできれば良いなと思います。

ご意見・ご質問等ございましたら、気軽にDMお待ちしております。

▷Twitter:@rikei_ayaka

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