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これらの疑問は、多くの理系高校生が抱く疑問でしょう。
例えば、流体力学やレーザー、プラズマに興味を持って大学を調べてみたら、工学部でも理学部でもやっているなんてことがあったりします。
今回の記事では、工学部の立場から、工学部と理学部はどう違うのかという話をしようと思います。
工学部と理学部の違いは、おおざっぱに言うとゴール(目的)の違いと言えます。
工学部では “実用” を、理学部では “現象の理解” を目的にしている
工学部で基礎研究をやるのは “使う” ために現象を理解しようとしているから
なぜそう言えるのでしょう? それぞれの学部での学問へのスタンスを考えながら説明していこうと思います!
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↓
①「有機化合物の分離/精製 基礎から上級テクニックまで @ 異分野融合Bar」
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理学部のゴールは現象の理解
そもそも、理学とは何なのでしょう?
「理学」という単語を広辞苑で調べてみると、
「理学 : 物理学・化学・地質学・天文学・生物学など、自然に関する科学の総称。」
とあります。
基礎研究は “自然をはじめとした現象を、理論などを用いて理解するための研究” のことを指すのですが、理学部はこの基礎研究を行うための学部だということができます。
すなわち、自然現象から規則を見出し、数式などの何らかの形で記述することが理学部の目的なのです。
工学部のゴールは実用
一方、工学とは何なのでしょう?
こちらも広辞苑で「工学」という単語を調べてみると、
「工学 : 物理学・化学・数学などの基礎的科学を工業生産に応用するための学問。」
とあります。
ここで言われている基礎的科学は基礎研究と同じ意味と捉えてよいでしょう。
そして工業生産とは、何かを “作る” ことです。機械や薬品、建造物などなど、工業製品にはたくさんのものが当てはまります。
すなわち、工学とは、 “基礎研究によって構築された理論をもとに、社会の中で実用できる形にして実装する・役立つ製品を作る学問” と言い換えることができます。
応用研究とは基礎研究で生まれた成果を、社会に実装したり役立つするための方法を探る研究であるので、”工学部は応用研究をやっている” と言えるでしょう。
工学部で基礎研究をやるのは “使う” ため
大学での研究内容を見ていると、工学部にも関わらず基礎研究的な研究をしているところは少なくないと思います。
理由はいくつかあると思いますが、理由の1つとして、 “現象が起こる原理を理解することで実用に繋げたい” ということが挙げられます。
現象として起こることは予測できても、その原因が分からないから効率化や実用ができないという場合には、工学部において基礎研究が行われます。
もちろん、原理の内容はブラックボックスで大丈夫だという立場を取り、現実社会で使うことだけを意識した研究もあります。
また、工学部では応用研究など実用のための研究から新しい現象が見つかって、その現象の理論を解明しようとすることもあります。量子力学の分野だとこのようなことが多いです。
そのような場合でも工学部で基礎研究が行われます。
基礎研究の発達は応用研究に更なる進展をもたらすし、反対に応用研究から基礎研究が発展する場合もある。
基礎研究・応用研究の両方へのアンテナが必要なのが、工学という学問です。
実用を考えることで増す工学部の魅力
何らかの現象を捉える時に、”実用” というゴールを意識するかしないかで物の考え方は変わってきます。
もちろん、現象としての捉えた時に、自然科学にもまだ原理が分かっていない不思議なことはたくさんあり、わくわくは尽きません。自然科学の美しさに惹かれるという人も多いでしょう。
工学の観点から自然現象を捉えることは、いつもの自然現象の見方にスパイスを加えるようなものです。
社会の中で、自然現象をどう生かすかを考えることは、人類がずっとやってきたことです。
その営みを垣間見るというのも、自然現象と付き合う時の楽しさの1つだと思います。
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有機系博士ともよしがイベントで使用したスライド資料①②の2点です!
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①「有機化合物の分離/精製 基礎から上級テクニックまで @ 異分野融合Bar」
②「有機化学Bar 〜有機分子の構造決定をしてみよう!〜」
コラム:基礎研究と応用研究を区別することは必要か?
基礎研究と応用研究を区別して扱われることは少なくありません。
しかし、基礎研究からも応用研究が生まれることだけでなく、応用研究から基礎研究が生まれてくることもあります。
もちろん、今自分がやっている研究の目的を意識したうえで基礎研究か応用研究かを意識する必要はあるでしょう。それとは別に、自分の中で基礎研究と応用研究という両方の切り口を持っておくことは強みであると思います。
参考リンク:国立環境研究所ニュース17巻, 基礎研究と応用研究, 合志陽一著
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