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こんにちは。ちょ(@chololologlobal)です。
本題を始める前に。。。
まず、あなたがどれほど健康に関する「科学」を「正しく」把握しているかチェックしてください。
紙とペンを用意して健康の事実に関する以下の3問のクイズに答えてみましょう。
Q1. 水に「ありがとう」と言葉をかけると、キレイな結晶が出来上がる。
A.汚い言葉をかけるとマトモな結晶ができない
B.キレイな言葉なら同様にキレイな結晶が出来上がる
C.どんな言葉をかけたとしても結果は変わらない
Q2. 水素水ブームが過ぎ去ったのは、需要過多で品薄になったのが原因だ。
A.その通り。健康に良いので早く買いたい
B.もっと健康にいい「宝石水」に流れている
C.普通の水と変わりないと気付いた人が増えたから
Q3.風邪をひいた時、病院で抗生物質さえ貰い、服用すればすぐに回復する。
A.すぐに回復するだろう
B.飲まないよりかはマシだろう
C.ほとんどの場合、飲んでも意味がない
ご回答ありがとうございました。
それでは、答え合わせをしましょう。
答えは、、、
すべてCです!笑
ここで、正答率について、チンパンジーとの比較をすると、最初から導入を真似していた「Factfulness」(ハンス・ロスリングら著)と全く同じになるので、人気作にあやかるのはここまでです。
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科学リテラシーとは何か?
「科学リテラシー」という言葉について、この記事内で私が意図する意味としては、
「日常接する情報に対して、科学的に熟考・議論し、そこから妥当な結論を導けられること」
といった、科学的なメディアリテラシー能力を想定しています。平たくいうと、情報が正しいかどうか科学的に判定できる能力です。
SNSで誰もが自由に情報を発信できたり、広くから情報を容易に得られるようになった現代においては、間違った情報に左右される危険性というのが高まっていると思われます。
中でも、健康等に関する情報ならば、需要が非常に高く、自然とその蜜を啜りたくなるものです。そんな自身に価値のありそうな情報に出会った時、あなたはその正否を判断することができるでしょうか?
今回は、簡単な例を交えながら、科学リテラシーについて紹介したいと思います。
Q1の解説:水の結晶
「水にありがとうと言葉をかけると、キレイな結晶が出来上がる。」
→どんな言葉をかけたとしても結果は変わらない
出典は、「水からの伝言」(江本勝、波動教育社)という本で、ありがとう等のキレイな言葉をかけて結晶化させた水は、キレイな結晶が。ばか等の汚い言葉をかけて結晶化させた水は、汚い結晶がそれぞれ形成されるというもの。ニセ科学の典型例として、広まった話なので、耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。
ご存知のように我々の声といった音は、いわゆる波(空気の振動)です。超音波をかけ続けたお酒はまろやかになる。という話があるので、それに近い現象として、1秒間に数万回ありがとうと、数時間冷やしながら言い続けて結晶を作るという話なら、まだ分かりますが。。。(簡単な記事)(参考1)(参考2)
話が逸れましたが、この水の結晶の話は、道徳の授業教材で、キレイな言葉を使いましょう的な教訓を伝える為に使われているそうですが、教育機関でこのような科学的に不可思議な現象を紹介するのはいかがなものか、これまでに多くの議論がなされているようです。
あえて、この記事でこれ以上触れる必要はありませんので、ご存知でない方は例えばこちらのpdf記事でご確認ください。
Q2の解説:水素水
「水素水ブームが過ぎ去ったのは、需要過多で品薄になったのが原因だ。」
→普通の水と変わりないと気付いた人が増えたから
皆さんはなぜ「水素水」が注目されることになったかご存知ですか?これは、某有名女優さんがブログで取り上げる前に、学術論文として健康にいいと報告されているからです。
では、この論文を「理系とーく」らしく分析してみましょう。著者は日本医科大学のチームで、論文を掲載しているのは、医薬学界で非常に権威のある雑誌の一つNature Medicine誌です。この論文では、培養液に水素ガスを含ませることで、培養細胞の酸化ストレスなどが緩和されたこと、脳虚血状態のラットに水素ガスを吸入させることにより、虚血で死んでしまう脳神経細胞が保護されたこと、などを報告しています。これらの実験から水素ガスを生体の水分に含ませることにより、健康効果が得られることが科学的に証明されました。
これを契機に水素水という健康を標榜する商品が誕生しました。しかしながら、水素ガスというのは通常の条件では、ペットボトルなどの容器から簡単に抜けてしまうことが明らかになりました。
このことから市販もしくは一般家庭の機械で作製された水素水というものは、多くの場合は、私たちの身体に影響を及ぼすほどの量の水素を含まない、「ただの水」であることが示されました。
以上のように科学論文が発端となった水素水ブームは、消費者の私たちがその科学現象の恩恵を受けることができないインチキ商品ばかりだったことから終焉を迎えました。
しかし、発端となった科学論文までもインチキだったのでしょうか?
そんなことはありません、文献検索サイトWeb of Scienceでは891件(2019年5月26日正午現在)の論文がこの論文を引用していて、多くの論文で、さらなる水素ガスの有用性が示されています。
実はこの論文を元にし、現在、医療へ「水素ガス」を用いることができるのでは?という研究が進んでおり、患者さんを用いた研究も多数なされているようです。(これらの研究は「科学的」になされています。一例として慶応大の成果をリンクしておきます。)
水素水を標榜するインチキ商品では、エンドユーザーである我々の元には、有効な量の水素が供給されませんでしたが、然るべき機関で然るべき量の水素を用いることで、その有効性の真偽がはっきりすることを期待します。
「キムリア」等の超高額な医薬品が承認される中で、もし水素ガスが病気の治療に使えるとなれば、その製造コスト等を考えると、医療費問題解決に繋がるかもしれませんね。
ちなみに某有名女優さんは、最近では「宝石水」?と言ったものを紹介されているそうです。そのエネルギーの波動を水に転写し、そのまま体に取り込めるそうです!きっとすごいものなのでしょうね!?ぜひご自身のリテラシーを生かして情報の価値を判断してみてください。
参考
とりあえず、キラキラで綺麗でした。。。笑
Q3の解説:抗生物質は風邪に有効じゃないの?
「風邪をひいた時、病院で抗生物質さえ貰い、服用すればすぐに回復する。」
→ほとんどの場合、飲んでも意味がない。
ここで、皆様に朗報です。なんと、私たちにもノーベル賞を取るチャンスがありましたよ!
ナイショですよ。。。実は、
「風邪の特効薬を作る」だけでいいんですよ!
風邪の原因は、ほとんどの場合が「ウイルス」になります。
ここで区別しなくてはいけないのが、インフルエンザに代表されるような「ウイルス」と、黄色ブドウ球菌に代表されるような「細菌」。似たようなイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、生物学的には全く異なるものです!(特にウイルスは自分で生きていけないので、生物と呼んでいいのか議論がありますが、ここでは触れません。参考)
さて、「抗生物質」とは、例えば、ストレプトマイシンやペニシリンといった「細菌」をやっつけるお薬です。
ここまでお話しすれば分かって頂けたでしょうか?
つまり、ウイルスが主原因である風邪に対して、細菌をやっつける抗生物質を投与しても、主原因は駆逐できない!ということです。
という訳で、生物学の原理上は抗生物質では風邪は治せません。
じゃあ、市販の風邪薬や解熱剤を服用すれば治るのでしょうか??
いいえ、それらは一時的に症状を緩和するだけであって、ウイルスを駆逐することはできません(熱を下げたり、咳を止めるなどの対症療法)。
では、タミフル(インフルエンザウイルスが増殖するのを防ぐお薬)のような、風邪の抗ウイルス薬はないのでしょうか?
実は、風邪の原因となるウイルスは多岐にわたる為、この薬を飲めば風邪のウイルスを駆逐できる!というものはありません。抗ウイルス薬はウイルスが変われば効き目がない上、ウイルスもあっと言う間に抵抗性を獲得する場合があります(2018年秋にでた、インフルエンザウイルスへの新薬ゾフルーザと耐性株の関係が分かりやすいかと思います。参考)。
しかも、風邪ウイルスの中で一番有名なライノウイルスは種類が多い上、インフルエンザウイルス同様に変異しやすいウイルスです(RNAウイルスの一般的な特徴)。
風邪の主な原因ウイルスを駆逐するのに、膨大なお金をかけて、薬を作る会社が出ないのも頷けますね。
ここまで、科学的に風邪に抗生物質を飲んでも効果がないというお話しをしましたが、最後に心理学的な現象について付け足しをさせていただきます。
皆様は「プラセボ効果(プラシーボ、偽薬効果)」という言葉をご存知でしょうか?
これは、「病は気から」を表す言葉で、薬を飲んだからもう安心だ!という心理状態により、身体の中の免疫機能が促進され、病を緩和・治癒させてしまうという現象です。
例えば、あなたが信頼しているお医者さんや、家族友人から「風邪によく効く薬」をもらったとします。飲んだら「これで大丈夫だ」と安心した気持ちになるんじゃないでしょうか?
そのような楽な気持ちにさせることで身体の抵抗力を高めることになります。(この現象を心理学的というのは、科学的なメカニズムの追求や程度判定が、個人や状況に依存する現象のため難しいから、心理学的と説明させて頂きます。)
ですので、私は風邪の友人などに、めっちゃ効く薬やでーと言って、いいのど飴をあげてますw
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まとめ
SNSが普及することにより、例えば私みたいな一般人でも容易に最先端の情報にアクセスできるようになりました。そのおかげで我々は貴重な情報をいち早く得られるようになった一方で(悪意がなかったとしても)間違った情報をつかまされる事も。。
普段から、自分が知らない情報は「本当なのか?」と今一度、立ち止まって考えてみることが、情報氾濫社会でご自身や大切な人を守る最善策なのではないでしょうか。
くれぐれも
私が10000円払うので、私に科学的な物の見方を教わりたい人っていますか?ただ条件があって本気で科学的情報を見極めたいという人に限り、そして私が教えたい人を好きに選びます!私がお金を払って教えます!詳しくはこちら。。。
みたいな話に安易に乗っからないよう気をつけましょう。笑
読んでくださり、ありがとうございました!
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