「研究の実用性は?→「ありません」でもお祈りゼロだった答え方」

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どうも、大手メーカーの研究員兼リクルーターのさるぽてです。

インターン枠や企業の奨学金採用枠以外の選考過程の場合、技術系研究職や開発職として企業を受けている方々にとっては4月〜5月くらいが面接のピークですよね。

僕は手帳を見返して見ると、3月に1回、4月に3回、5月に5回面接をしました。(かなり少ない方だとは思います。)

いよいよなんとなーく自分の就活の軸も見えて来て、志望理由や自分の弱み強み等も語れるようになってきて、面接慣れした頃ではないでしょうか。

しかし、そこで新たに現れる敵が自分の研究を説明しなければならない技術面接。

そして技術面接の中でも「いやだな〜」と感じたのが、「君の研究の実用性は?」という質問。実は修士時代の僕の研究、全く実用とか考えていない研究だったんですよね。

同じような境遇で「これ答えにくい〜」とか思っている学生さん、いるんじゃないでしょうか。

この問題に対して僕は「この研究自体に実用性はありません」でOKという結論に至りました。しかも結果として僕は企業からのお祈りは一回ももらわずに3社に内定をいただいて就活を終了できています。

もちろん僕と皆さんそれぞれの研究は別物なので、もろパクリでいいわけはありませんが、考え方の参考になればと思います。

 

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研究の実用性の語りやすさは自分の研究テーマ次第

そもそも、「君の研究の実用性は?」という質問は学生それぞれにとって難易度が全く異なります。

例えば僕は学部4年生の頃は光触媒を用いて太陽光を駆動力に水を水素と酸素に分解する半導体の開発をしていました。そんな僕であれば、

「実用性ですか?世の中のエネルギー事情は環境負荷が小さくなるようにシフトしている最中です。水素というのはエネルギーを取り出す際の排出物が水のみという極めてクリーンなエネルギーであり、それを水と太陽光から無尽蔵に取り出せるとなれば・・・」

もう簡単な質問すぎてペラッペラと口を突いて出て来ます。逆に胡散臭いやつだなとか思われないか心配なくらいです。

他に比較的語りやすそうな研究としては、

細胞の染色→iPSの分化未分化マーキング、

薬効のある化合物の合成→医療

理論計算→実験コストの低減、時短

などなど、やはり世の中のニーズありきの研究は当然日頃から実用化を夢見て研究するわけですから語りやすいですよね。そもそもどんな研究であれお金を費やしてもらっているのだから世の中のニーズに応える姿勢というのはとても大事なのですが。

とは言っても、大学ならではの研究ってありますよね。「これ面白くね!?」がドライビングフォースになってる研究。

修士時代の僕の研究もそうでした。安定有機ビラジカルの置換基を少し変えて少し分子の平面性が上がったとか、トリプレットになりやすくなったとか、そんなことをまとめて論文にしました。

”安定”有機ラジカルと言ってもゆーてラジカルなので数日で死ぬわけですよ。しかも別に何かすごい性能を持っているとわかったわけでもない。色は鮮やかな青紫だけども。

(実用性とか聞かれてもこんな子が世に出て活躍できるわけない・・・)

学部4年の時の自分にとってはめちゃくちゃ簡単な設問だったはずなのに、就活生としての自分にとってはかなりの難問になったわけです。

これって、なんか不平等じゃないの?・・・いやいや、実際にはそうでもないんだよ。

 

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「研究の実用性は?」の質問の意図は自分の研究の立ち位置を理解しているかどうか

一旦立ち止まってこの質問の意図を考えてみましょう。

まず、技術面接には大抵技術がわかる研究員が呼ばれます。構造式を見てもちんぷんかんぷんな人に修士の研究を説明しても仕方ないですからね。

ここで冷静に考えて、大学を出て企業に入り何年もやって来ている研究のエリートが、研究テーマによって将来の実用先の語りやすさに違いがあることくらいわからないはずがないと思いませんか。

つまり、「自分の研究の実用先をわかりやすく語れた=合格」という視点では見ないものなんですよ。

じゃあどういう視点で見られているか?

それは、「社会全体の構図の中で、貴方の研究はどういう立ち位置にいますか。どういう道を拓いていけるのか考えられていますか?」という視点です。

必ずしも最終的なゴール(実課題への適用)を聞いてるわけじゃありません。もちろんゴールが明確でそこに向かって一直線な研究ならそのゴールを語ることが自分の研究の立場を説明することになるわけですが。

ただそうではなく、ゴールから果てしなく遠い研究、または一つのゴールを見据えているわけではなく可能性の種を生み出そうとしている研究・・・そういった研究をしているならその立場に応じた回答をすれば十分なわけです。

 

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実用性がない場合、「ありません」でOK。ただし次のステップとなる研究を必ず語れ

ということはですよ。「この研究の実用性は?」と聞かれても、無理に取り繕わずに、

「正直に言ってすぐに社会に適用できるような実用性はありません」でもいいんですよ。

上記は実際に僕が技術面接で聞かれるたびに答えたセリフの冒頭です。

ただ、これだけ言い放つんじゃ良くないのは明らかですよね、それじゃただ自分よがりな研究です。というわけでここが重要なポイントなのですが、自分の研究が成功した場合の次の研究を語りましょう

「自分の研究が成功したらどう世の中に出て役にたつか」じゃありませんよ。(それがわかんないから今この命題について語っているのですから)

自分の研究が成功したら次はどういう研究のステップに進めるのか、です。これは実用化が近い遠い云々ではなく、自分の研究周辺の話になるわけなので誰でも語れる必要があります。

下の図をご覧ください。僕の研究の立ち位置をざっくりと描きました。

 

黒の点線が基礎研究で、緑枠が実用化の例。そう、僕の研究自体はどうあがいてもいきなり実用化に結びつけることはできませんでした。

そこで、もし今の研究がうまく行ったらどんな研究に繋がるかなっていうのを考えてみたのです。

すると真っ先に、「(励起後の)再配置エネルギーが低い分子の設計」、「一重項と三重項の関係を制御する分子設計」が思い浮かびました。(テクニカルタームだらけでごめんなさい。)

要は、僕の研究がうまくいけば分子設計に幅が出ますよってことですね。別に世間からしたら「だから?」って感じだと思います。これだけじゃまだ実用性を語るのは厳しいんです。

でも分子設計に幅が出たとして、それを駆使して何かの性能について最適な分子設計手法を探索する研究をしたらどうなるだろう?

例えば「(励起後の)再配置エネルギーが低い分子の設計」、これはホッピング伝導という有機物の電荷移動機構の観点からして、導電性の高い分子設計に直結する可能性が高いです。

平たく言えば、電気の流れるプラスチックができるようになりますね。

もう一個の例、「一重項と三重項の関係を制御する分子設計。」もう、専門じゃない人からしたらよーわからんと思います。

これは最近流行りつつある「シングレットフィッション」という現象を起こしやすい分子設計の素になるはずです。このシングレットフィッションというのは、一つの励起分子から二つの励起電子に分裂する現象ですね。

まだ、それだけでは世間からしたら「それがなんなの?」ですよね。

ですがこれが起きやすい分子をもし作れれば太陽電池の理論効率を増大させられることが知られています。十分実用化の可能性が見えて来ますよね。

そういう分子を作ることは僕のお仕事じゃないんですよ?ですけど、僕の研究の次の研究としてはこんなものが考えられます。

 

・・・というように、自分の研究そのものが直接実用化に繋がっていなければ、その後にどんな研究が繋がっていけるか考えてみてください。すると、そのうち自分の空想上の次の研究からは何かしら実用化が見えてきます。そこはおおらかに夢を語る気持ちでOK。だって普段は実用性については考えずにやってるって宣言してロジックを通しているわけですから。

ここまでをしっかり語れればどうでしょう。そもそも面接官の質問の意図は「自分の研究の立ち位置を理解しているかどうか」だろうということは上述しました。

これに対して相手の感想としては、

「なるほどね、かなり要素研究寄りの研究だし、本人もそう自覚しているみたいだな。確かに遠い実用化についてはふわっとしか見えてこないけど、目の前のことに行き当たりばったりではなくて自分の研究の周辺についてもあれこれ考えられているな」

となると思いませんか?

”実用性はありません”を話しの切り口にしても、ちゃんとその後に、

「直接実用化することは考えていないけど、自分の研究は例えばこんな研究に繋がるし、そしたらその頃にはこんなことも世の中に適用できるかもしれないですね」

というありのままの姿を語れれば自分の研究の存在価値を「実用性」という枠に当てはめずにアピールすることができるのです。

これがお祈りゼロで就活を終えたさるぽて流の答え方です。

 

実用性を無理して作るな

とはいえ、「ちょっと『ありません』って発言が事故にならないか怖いんだけど、逆に、無理やり実用性を語ってやり過ごすんじゃだめなの・・・?」と思われる方もいるかもしれませんね。

実際には普段実用化なんて考えていないのにうまくそうやってごまかして合格している人も必ずいると思います。ですが、僕の考えではよっぽどその方がリスキーです。

問題点は二つあります。

 

1、聞いていてロジックがすっきりしない。

僕の研究の例ではこういう形の主張になりますよね。

 

実際には実用化にはまだステップを踏む必要があるわけですよ。それを差し置いて、自分の研究がそのまま役に立つと語ると、「本当にそんな成功描ける・・・?」と、論理の隙を突きたくなるものです。

隙をつかれてしまい、結局「いや、実はこういう研究もしないといけないんですけど・・・。」って後戻りすることになります。

これはカッコ悪い。相手の印象としては、「なーんかいまいち理路整然としてないな〜」

学生同士ならごまかせることも社会人相手にはなかなか通用しないと思った方がいいです。

 

2、普段考えていない実用化ストーリーなので所詮付け焼き刃

そもそも普段実用化まで考えていない話を就活用に作ろうたってそれは付け焼き刃です。

実際に実用化となると、「自分の研究も役に立てるかも〜」では話は済まなくなってきます。

・必要なスペックはどれほどか、満たせる見込みはあるのか

・競合としてはどんな技術、材料があるのか

・競合と比べた優位性はどこにあるのか

・コストは現実的か

・安全性、環境面

・研究が完成する頃には時代は変わってしまっていないか・・・

実用化って本当にいろんな事を考える必要があります。それは会社に入って身に染みましたね。研究の実用化なんてしたことがない学生がここをきっちり作りこむのって非常に難しい。

ましては付け焼き刃ならぼろぼろになるのが普通で、そこを叩かれるリスクが二つ目です。

 

最後に

終わりになりますが、念頭に置いておくべきは面接の相手が普段企業で研究をする実用化のプロだということです。そういう人の目に晒されて無理やり作った実用化ストーリーが通用するかどうかを客観的に考えてみて欲しいです。

どうでしょう、普段は実用化のことは考えていませんって素直に言ってしまった方がいいと思いませんか。

ちゃんとその後に実用化はすごく遠いけど、ちゃーんと自分の研究に続く研究というのはあるんだ、って話ができれば落とされたりしません。

答えにくい質問に対しても、相手の意図に応えられる内容でありのままの姿を正しく伝える、そんな王道を強くお勧めします。

 

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